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Sunday, December 3, 2023

[ニュース深掘り]殺人事件で警察が証拠隠滅?宮崎で勃発“疑惑”の改ざん可能なSDカード…2018年に問題点が指摘されていた - 新潟日報デジタルプラス

捜査機関などで使用されている改ざん防止機能付きのSDカード。左が東芝メモリ社のライトワンスカード、右がPGS社製のカード(いずれも2018年当時)

捜査機関などで使用されている改ざん防止機能付きのSDカード。左が東芝メモリ社のライトワンスカード、右がPGS社製のカード(いずれも2018年当時)

 宮崎県で起きた殺人事件で、警察が証拠を改ざんした疑いが浮上した。証拠写真が入ったSDカードのデータを宮崎県警が一部削ったとして、証拠隠滅の疑いで検察に告訴状が出されたのだ。このSDカードは新潟県警など、全国の多くの警察が使っている。新潟日報社は5年前の2018年に、このカードは扱い方次第では改ざんが可能で、警察が使うには問題点や懸念があることを新聞記事で指摘していた。

▽問題になっている事件は?

 証拠の改ざんが取りざたされているのは、宮崎市で2020年に起きた殺人事件。公判前整理手続き裁判が始まる前に裁判所、検察官、弁護人が争点や証拠などを確認する手続き。で開示されたSDカードの画像データを改ざんしたとして、殺人罪で起訴された被告の弁護人が2023年11月6日、証拠隠滅容疑の告訴状を東京地検に提出した。

 告訴状によると、SDカードは現場に落ちていたなたの指紋を巡る証拠として、警察が提出。専門機関が分析したところ、写真34枚が隠滅された疑いがあるという。当時の宮崎北警察署長らが改ざんに関与したとしている。

 宮崎県警は「改ざんの事実はない。警察庁の通達に基づくSDカードを使用している」としており、告訴の行方が注目されている。

 起訴状などによると、被告は2020年11月、宮崎市の路上で知人を包丁で刺し殺害したとしている。被告側は、なたを振りかざして襲ってきた相手に対し、包丁を突き出した正当防衛だとして無罪を主張している。

▽SDカードは改ざんできる?

 このSDカードはキオクシア(旧東芝メモリ)製の「ライトワンスメモリカード東芝が2011年に発売した改ざん防止機能付きのSDカード。2018年時点では東芝メモリ(現キオクシア)が製造。ホームページでは「動作確認済みのデジタルカメラで撮影した原画像ファイルに対して編集・加工または消去ができない記録媒体」と説明し、改ざんはできないとしている。同じカードを複数のカメラで使用することを禁じるなど、いくつかの注意事項が設定されている。」。画像データなどが記録されると上書きできない「改ざん防止機能付き」とされ、全国の多くの警察が証拠写真などを記録する媒体として利用している。

 新潟県警も新潟日報社の取材に、現在使用していることを明らかにした。

 だが、新潟日報社は2018年10月の朝刊で、このカードが本当に改ざんができないのか検証する記事を掲載した。

[2018年に新潟日報社が検証]専用カメラで撮影し、ライトワンスカードに記録した原本の画像=写真(左)=と、パソコンに移しナンバープレートを加工した画像=写真(右)=。画像は別のライトワンスカードに保存できた(車両、置き換えたナンバープレートはいずれも新潟日報社が所有)

 実際には、データをパソコンなどに取り込んで編集、加工できることや、加工後のデータを別のライトワンスメモリカードに移すことで書き換えたデータを原本のように装うことができることが判明。使用方法によっては改ざんが可能な製品であり、警察が使う問題点を指摘していた。

×    ×

 当時の新潟日報の記事を改めて掲載する。

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