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Tuesday, March 31, 2020

再審無罪 冤罪生んだ警察の「証拠隠し」 - 読売新聞

 警察も検察も、真相の究明に背を向けたと批判されても仕方がない。

 滋賀県東近江市の病院で看護助手だった西山美香さんの再審の判決で、大津地裁が無罪を言い渡した。入院患者の人工呼吸器を外して殺害したとして、殺人罪で懲役12年が確定し、服役を終えていた。

 判決は、新証拠となった鑑定書などから、自然死の可能性を認めた。「そもそも患者が何者かに殺害されたという事件性すら証明されていない」との指摘は重い。

 当初の裁判で有罪の決め手になった自白について、任意性を否定した。西山さんは軽度の知的障害があり、取り調べた警察官に恋愛感情を持っていた。判決は「やってもいない殺人を自白することはありうる」と結論づけた。

 迎合しやすい傾向がある容疑者の取り調べには、細心の注意が必要だ。西山さんの特性に乗じたかのような誘導的な取り調べで、虚偽の自白を誘発した警察の捜査は強い非難に値する。

 さらに問題なのは、再審が始まるまで、警察が検察に多数の証拠を渡していなかったことだ。

 この中には、故意に呼吸器を外したことを否定する西山さんの供述を記録した書面や、西山さんの逮捕前から解剖医が自然死の可能性に触れていたことを示す捜査報告書が含まれていた。

 仮にこうした証拠を早くから検察が把握し、十分吟味していれば、西山さんは逮捕も起訴もされなかった可能性が高い。

 有罪立証に不利な証拠を警察が隠蔽いんぺいしていたのなら、犯罪にも相当する悪質な行為である。

 再審における検察の姿勢も看過できない。当初は有罪を主張すると表明しながら、その後、何の説明もなく、立証を断念した。把握していなかった証拠が警察から送られてきたため、有罪の維持が困難と考えたのだろう。

 本来であれば、再審段階で確認した証拠を踏まえて、事件をきちんと再検討すべきだった。その上で、有罪が立証できなければ、その理由をつまびらかにし、無罪の論告をするのが筋である。

 それをしなかった検察はあまりに不誠実であり、「公益の代表者」の名に値しない。

 判決の言い渡し後、地裁の裁判長は法廷で、「刑事司法に携わる全ての関係者が自分自身の問題として捉え、改善に結びつけていくべきだ」と語った。

 冤罪えんざいを生んだ警察や検察はもちろん、誤判を重ねた裁判所も猛省しなければならない。

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