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Thursday, November 2, 2023

住民避難要求に民間人拉致殺害、イスラエル・ハマス双方「人道法違反」か…国際機関が証拠収集開始 - 読売新聞オンライン

 【エルサレム=酒井圭吾】パレスチナ自治区ガザを実効支配するハマスと戦闘を続けるイスラエルに対し、ガザの封鎖や住民の避難要求が国際人道法に抵触するとの指摘が出ている。一方のハマスも今月7日にイスラエルを急襲し、民間人を拉致、殺害した行為は戦争犯罪や国際人道法違反にあたるとみられる。国際機関は双方の行為の立証に向け、証拠収集を始めた。

 「罪のない市民に支援物資が届くことを妨げてはいけない」。29日、ガザとの境界に接するエジプトのラファ検問所を視察した国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)のカリム・カーン主任検察官は、動画の声明で訴えた。カーン氏は、イスラエルによるガザへの支援物資輸送の妨害が国際人道法違反にあたる可能性を指摘し、「刑事責任が問われる場合もある」と警告した。

 アントニオ・グテレス事務総長も24日の国連安全保障理事会会合でハマスを非難しつつ、イスラエルの空爆に「明らかな国際人道法違反への深い憂慮」を表明した。

 国際人道法は、武力衝突時の民間人や捕虜などの取り扱いを定めた国際条約の総称だ。1949年のジュネーブ条約と、77年に同条約に追加された二つの議定書などが含まれ、武力行使時に民間人への人道的配慮義務を課し、殺人や拷問、拉致、民間施設への攻撃を禁じている。

 イスラエルが今回、ガザの電気やガス、食料の供給を断ったことは、住民の生命を危機に追いやり、人道的配慮に反していると指摘される。ガザ北部のハマス拠点を攻撃するため、住民を南部に移動するよう求めたことは「住民の強制移動」にあたる可能性がある。

 ハマスやアラブ諸国は、空爆による民間人やインフラへの攻撃も、国際人道法違反と糾弾するが、イスラエル側は「自衛権の行使」として反論している。

 一方で、ハマスが7日のイスラエルへの奇襲で、多数の民間人を無差別殺害した行為や、民間人をガザに連れ去って人質にした行為は国際人道法に抵触する可能性が極めて高く、戦争犯罪に該当する可能性もある。

 ICCが国際条約「ローマ規定」に基づいて裁く「戦争犯罪」は民間人への攻撃のほか、生物・化学兵器の使用、集団殺害(ジェノサイド)なども禁じている。

 国連を中心とした国際機関などは双方の行為を問題視し、ICCは調査を進める構えだ。国際人道法に詳しいアムステルダム大学のアンドレ・ノルケンパー教授は「双方で国際人道法違反が起きている可能性が高い。法の観点から適切な調査が必要だ」と指摘する。

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