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Wednesday, October 25, 2023

被害者証言「不自然で信用できず」、無罪判決 証拠捏造の詐欺事件 - au Webポータル

名古屋地裁=名古屋市中区三の丸1丁目

 名古屋市内の会社間取引を巡る詐欺事件の差し戻し審の判決で、名古屋地裁は25日、詐欺罪に問われた会社役員の男性被告(60)に無罪(求刑懲役2年6カ月)を言い渡した。平城文啓裁判長は、検察が有罪立証の支えとした被害者側証言について「この期(差し戻し審)に及んでも不自然な供述を続けており、信用できない」と断じた。

 この裁判では昨年9月の二審・名古屋高裁判決が、客観証拠と矛盾する証言に依拠して有罪判決を導いた一審判決を批判。一審が証言を裏付けるとした会計帳簿が被害者側によって捏造(ねつぞう)されたことも認め、審理を差し戻していた。

 被告は2018年5月15日、運送会社長の男(60)=別件で公判中=から融資名目で3千万円を詐取したとして詐欺罪で起訴された。3千万円はこの約2カ月後に返済された。

 21年8月の一審判決はこの男と同社顧問の元弁護士=21年11月に愛知県弁護士会を退会、別件で公判中=の証言の信用性があるとし、同罪が成立すると判断。しかし二審でこの2人のLINEの「トーク履歴」を調べた結果、事件に至る経緯などに関する2人の証言と食い違うことが判明した。

 検察側は差し戻し審でも元弁護士の法廷証言を主な証拠として有罪立証を維持。一方、弁護側は無罪を主張した。

 この日の判決は二審と同様、元弁護士の証言はトーク履歴の内容と矛盾すると判断。証言が変遷したことについて合理的な説明もしていないことも問題視し、証言の信用性を否定した。

 元検事の高井康行弁護士は「被害者側の供述を過信せず、慎重に裏付けをするのが捜査の基本だ。本件ではその基本の捜査が不十分だ。詐欺だとしても全額返済されているのだから、起訴価値があったか疑問が残る」と批判した。

 名古屋地検の広沢英幸公判部長は「判決内容を精査し、適切に対応したい」とコメントした。(高橋俊成)

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