保険金を不正請求していたビッグモーター。現場の社員を追い詰めていたのはLINEでの通達だった。何が書かれていたのか、現役の社員が証言した。
現役社員「“ボケ”“カス”が飛び交う」
ビッグモーターの現役社員:
日常すぎて、「ボケ」「カス」「タコ」みたいな言葉は飛び交う
7月27日、そう話したのは、東海地方の現役のビッグモーターの社員だ。
企業風土の一新を目指す「ビッグモーター」。
和泉伸二新社長(7月25日):
現場の声に耳を傾け、風通しのいい企業風土をつくってまいります
兼重前社長の経営思想を象徴し、幹部には部下の「生殺与奪権」を与えると記した経営計画書が撤回されたことがわかった。
この記事の画像(7枚)また和泉新社長は、全社員に対して社内の連絡ツールとして使用していたLINEアカウントを、社用携帯から削除するよう指示していたことが明らかになった。
入手したビッグモーターのLINEメッセージ。兼重宏行前社長からは…。
<兼重前社長>
「営業の適性が無い人は、お客様にご迷惑をお掛けするので絶対に放置してはいけない!」
「バカが言うことに対して、お客様は絶対に納得されない」
上司からは…。
<上司>
「適当な仕事すんなクソタコ!!!!!!」
「マジでクソすぎる!!!ポンコツ!!!!!!」
罵詈(ばり)雑言の数々。現役の男性社員はこのLINEについて…。
ビッグモーターの現役社員:
社長も副社長も「ボケ」とか「カス」とかいう言葉が飛び交っていたのはありますね。「辞めてください」とか「店長を降りてください」とか「県外に飛んでください」みたいな言葉もあったと思います。本当にワンマンな会社ではあると思うんですけど、業界では給料・待遇が非常に良いんですけど、ちょっと度を過ぎたところもあるので、それについてこられる者だけが生き残っているというか
元社員の父親「あの会社は"タコ”という言葉が好きみたい…」
LINEを巡っては、うつ病になった元店長もいた。
井川翔馬さん(当時29歳)は、ビッグモーターで店長として働いていたが、うつ病を発症し解雇された。そして2022年9月に、交通事故で亡くなった。
4年前の2019年、父親にLINEで店長になった喜びを伝えた井川さん。その井川さんがうつ病になったのも同じLINEだった。
井川翔馬さんの父親:
グループLINEがあって、店長のグループLINE。やっぱりノルマなんでしょうね。「タコ」という言葉があの会社は好きみたいなんですけれども、そういった言葉も使ってLINEでやりとりされていた
LINEに加え、過酷なノルマや労働環境で、心と体に影響が出たという。
井川翔馬さんの父親:
各務原の支店で倒れたことがある。倒れた際にケガをして、救急車で運ばれたことがある。仕事がきつかったので倒れたんだと思う。寝る間も惜しんで事務所にいたらしいので
“LINE削除”で調査に影響は…新社長「言われてみればそうだなと」
店長らを追い詰めていったLINE。和泉新社長は、企業風土の改革としてLINEを削除するよう指示した。
和泉伸二新社長(7月26日):
休みの日であっても連絡の返答をしたりとか、そういったことが確認できましたので、まずいったん即やめようと、縛るのはやめようと
Q.過去の履歴が出てきたことへの対策では
和泉伸二新社長:
まったく違います。(隠そうという意思は)ありません。隠ぺいをするということでしたら、改革でもなんでもありませんから
Q.それまでのやりとりを保存しておかないと調査に影響がないか
和泉伸二新社長:
そこはおっしゃる通りで、言われてみればそうだなというのはあります
今回の対応について、現役の社員は…。
ビッグモーターの現役社員:
一掃して新しくスタートしたいという気持ちも分かるんですけれども、ただただ証拠隠滅にしか聞こえなかったです。真面目にちゃんと働いて家族を持っている社員もいるので、現場の社員のことを考えて発言・行動、体制を整えてほしい
(東海テレビ)
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