京都・蓮久寺の三木大雲住職のもとには、奇妙な体験をした人、助けを求める人たちが自然と集まる。賽銭泥棒の告白、タクシー運転手の臨死体験、夢の中で怒るお爺さん――。
そんな実話や自身の体験など、現代の怪談、奇譚の数々を収めた『怪談和尚の京都怪奇譚 妖幻の間篇』(文春文庫)より、「盗まれた仏像」を公開。見えない世界に触れることで、あなたの人生も変わる……のかもしれない。(全2回の2回目/続きを読む)
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とても残念な事ではありますが、全国で仏像の盗難事件が後を絶ちません。蓮久寺が属する本山でも盗難事件が発生してしまいました。この事件は全国的なニュースになりました。
本山とは、複数の寺院を取りまとめる寺院の事で、規模の大きなお寺です。ですので、本堂の他にも幾つかのお堂があったりします。そのお堂の一つから、仏像がなくなったのです。
その本山では、毎朝4時頃にお勤めのお坊さんが、本堂のお水の交換をします。次に境内にある別棟のお堂へと行き、そこのお水を交換します。そして、一般寺院では住職に当たる貫首様に、朝のお勤めの準備が出来た事を報告に行きます。その間、本堂とお堂の扉は開けっぱなしになっています。
さて、朝のお勤めを始めようと、お坊さんがお線香やお燈明を点けて回ったその時、仏像の一つが無くなっている事に気がつかれました。勿論、その直後、境内などを探されましたが、犯人らしき人影もなかったそうです。そして警察に連絡すると、直ぐに警察の方々が沢山来てくださったそうです。
盗まれたのは、月天子様という仏像で、お月様の神様です。高さは50センチ程で、木造りのものです。ですから、大人が脇に抱えて持ち去るのに、丁度良いサイズなのです。
防犯カメラもない、証拠も目撃情報もない
警察は、指紋や靴跡、怪しい人物を見かけなかったか、ご近所さんへの聞き込みなど、色々と手を尽くして調べて下さいましたが、これといった証拠は見つかりませんでした。
それからひと月程が経って、私も警察の方とお話しする機会があり、捜査状況をお聞きしました。すると、防犯カメラもない、証拠も目撃情報もないという今回の状況では、無事に仏像が戻って来られる可能性は低いと言われました。
からの記事と詳細 ( 防犯カメラもない、証拠もない、寺院から「盗まれた仏像」の行方は…戻ってきたときの姿に生じていた「ある変化」 - 文春オンライン )
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