大阪高裁が27日に再審開始を認めた「日野町事件」は、3月13日に東京高裁の再審可否決定を控える袴田巌さん(86)の第2次再審請求審の経過と共通点が見られる。ともに、再審開始の判断が導かれる上で検察官の手元に残されていた証拠の開示が大きな役割を果たし、再審開始決定に対して検察官が即時抗告したため請求審が長期化。関係者は速やかな救済に向け、規定が乏しい再審法(刑事訴訟法の再審規定)を改正する必要性に言及した。
「(検察官は)特別抗告すべきではない。いたずらにわれわれの時間を奪うべきではない。一日も早く再審公判を開いてほしい」。大阪高裁決定後の記者会見で、再審請求を申し立てていた阪原弘元受刑者の長男弘次さん(61)は訴えた。
日野町事件の第2次請求審は、開示された証拠から捜査書類などの任意性に疑問が生じ、大津地裁の再審開始決定につながった。袴田さんの第2次請求審でも「犯行着衣」のカラー写真など600点ほどの証拠が開示され、「犯行着衣」は捜査機関に捏造(ねつぞう)された疑いがあるとした静岡地裁の再審開始決定に結びつく一因となった。
通常、検察官は被告人の有罪立証に必要な証拠しか裁判所に提出しない。再審請求をしても、請求人に有利な証拠の開示を検察官に義務づける条文が再審法にない。日野町事件では、阪原元受刑者の死亡で第1次請求審は終了。請求審の長期化で請求人が先細りする懸念がつきまとい、請求権者の拡大も喫緊の課題だ。
袴田事件弁護団の小川秀世事務局長は大阪高裁決定に「これで不服を申し立てたら、むしろ検察は信頼を失うのでは」と指摘。日弁連の再審法改正実現本部委員でもある日野町事件弁護団の小林修弁護士は「証拠開示の必要性や検察官による不服申し立ての問題がいっそうクローズアップされる」と袴田さんの再審可否決定を注視している。
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