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Monday, February 27, 2023

「証拠開示の重要性示された」門野博・元東京高裁部総括判事 38年前の強盗殺人 - 産経ニュース

阪原弘さんの遺影を手に大阪高裁に向かう長男の阪原弘次さん(前列中央)ら =27日午後、大阪市北区(永田直也撮影)

滋賀県日野(ひの)町で昭和59年に酒店経営の女性=当時(69)=を殺害して金庫を奪ったとする強盗殺人罪で無期懲役が確定し平成23年に病死した阪原弘(ひろむ)元受刑者について、大阪高裁は27日、平成30年7月の大津地裁に続き、再審開始を認める決定を出した。決定内容を踏まえ、元東京高裁部総括判事の門野博弁護士が談話を寄せた。

今回の高裁決定は、新旧の証拠を総合的に考慮した上で、「疑わしきは被告人の利益に」との原則が再審請求審でも適用されるという昭和50年に最高裁が示した「白鳥決定」の趣旨を踏襲している。再び再審開始を認めたことは高く評価すべきだ。

平成30年の大津地裁決定は、証拠が不十分であるにもかかわらず、金庫や遺体が見つかった場所への「引き当て捜査」の結果を重視して元受刑者を有罪とした確定判決(平成7年、大津地裁)の判断の誤りを指摘し、自白の任意性や信用性にも疑問を投げかけた画期的なものだった。

この日の大阪高裁決定も、遺体発見場所の引き当て捜査には問題があることを明言し、元受刑者の自白は動揺するに至ったとして地裁決定を維持しており、再審開始を認めた判断は正当だ。新証拠によって、アリバイの主張が認められる可能性が出てきたという判断も説得的で注目すべきだ。

一方、金庫発見場所の引き当て捜査について「捜査の任意性が確保されていなかったとまでは認められない」とした判断は判然とせず、いささか疑問も残る。

また、判断の根拠となった引き当て捜査の写真のネガフィルムは、再審請求で初めて検察側から証拠開示された。改めて証拠開示の重要性が示された事例ともいえる。過去に再審開始が認められた事件も、新たに開示された証拠が起点になっているが、現行制度には開示の規定はなく課題となっているままだ。審理に時間がかかりすぎるとの問題点も指摘されており、検察側の不服申し立てを巡る問題も含め、制度について改めて議論すべきだ。

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