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Thursday, December 22, 2022

異例の「政治家本人」略式起訴 豊富な証拠で共謀成立と判断 - 産経ニュース

薗浦健太郎前衆院議員(50)の政治団体を巡る政治資金収支報告書の過少記載問題は、会計責任者の秘書らだけではなく、薗浦氏自身も政治資金規正法違反罪で略式起訴される異例の結末となった。東京地検特捜部は、豊富な客観証拠に基づき共謀が成立すると判断、薗浦氏の刑事処分に踏み切った。

収支報告書への虚偽記載などが疑われるケースで、政治家本人の刑事責任を立証するハードルは高いとされる。政治資金規正法で収支報告書の提出義務があると規定されている会計責任者が「本人には報告していない」などと説明すれば、共謀の認定は困難だ。

実際、小沢一郎衆院議員の資金管理団体や小渕優子元経済産業相の関連政治団体を巡る事件では、秘書が有罪となる一方、政治家本人が最終的に不起訴や無罪となっている。検察幹部は「一義的に罪に問われるのは、あくまで会計責任者。表面的な報告と政治家の了承だけで、共謀を認定することはできない」とする。

これに対し、今回の捜査は「広がり」を見せた。

薗浦氏の資金管理団体「新時代政経研究会」が、平成31年4月に開いたパーティー1回分の収支計約200万円を記載していなかったとして収支報告書を訂正。この訂正を巡り昨年9月、市民団体が同法違反罪で告発。これを受け、特捜部が銀行口座の通帳などを精査する過程で、実際のパーティー券収入が、収支報告書の記載額を大幅に上回っていたことが発覚した。

加えて、会計責任者だった大谷勇人・元公設第1秘書(35)らが薗浦氏に過少記載を報告していたとを認めたことで焦点は「元秘書と薗浦氏との共謀を認定できるか」「薗浦氏を罪に問うべきか」に絞られた。共謀が認定され刑事罰を科されれば罰金刑であっても公民権が最大5年間停止される。検察OBは「違反が成立することは理解できるが、まれに見る形式犯。『議員バッジ』を奪うのに相当な悪質性はあるのか」と疑問を呈していた。

検察庁内にも一部、消極論はあったが、過少記載額が計約4900万円と高額で、大谷秘書と薗浦氏とのやりとりを記録した録音や通帳、収支報告書へ過少記載する額を記したメモなどの客観証拠が豊富だったことなどが、立件の決め手になったとみられる。

過去に政治家本人が同法違反に問われた事件では、不記載額が億単位に上ることが多かったが、安倍晋三元首相の後援会が「桜を見る会」前夜に主催した夕食会を巡り元公設第1秘書が略式起訴された事件では、不記載額は計約3022万円だった。ある検察OBは「不記載や過少記載が発覚した場合、今後はより厳格に刑事処分が下されるのではないか」と分析する。

検察幹部は「小口で広く資金を集めるパーティー収入の記載は、ミスも起きやすいが、不正もしやすい。見極めは難しいが、(会計責任者と政治家との間の)報告・了承が認定できるなら、処罰する価値はある」と話した。(吉原実、桑波田仰太、石原颯)

薗浦前議員を略式起訴 政治資金収支報告書に4900万円虚偽記載 東京地検特捜部

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