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Tuesday, October 18, 2022

シリア戦争犯罪の訴追には証拠ではなく手続き上のハードル、専門家が明かす - ARAB NEWS

  • 残虐行為に関わったとされる人々を起訴し、責任を取らせるためには何年もかかる可能性があると参加者は述べた
  • アメリカ平和機関(USIP)が主催したこの会議は国連の国際中立独立機構(IIIM)が行った、国際人道法違反および人権の侵害の証拠収集を検証する目的で開かれた

レイ・ハナニア

シカゴ:専門家会議は10月17日月曜日、シリア内戦中に生じた国際人道法違反および人権の侵害に対して正義を追求する手続きには多くの障害が待ち受けており、このような犯罪の証拠は次々に見つかっているにもかかわらず、容疑者を裁判にかけるまでには何年もかかる可能性があると認めた。

アメリカ平和機関(USIP)が企画したこの会議に、アラブニュースも出席した。会議は国連が2016年にシリアでの国際人道法違反および人権の侵害の証拠を集め、保存し、分析するために立ち上げた国際中立独立機構(IIIM)の有効性を検証する目的で開かれた。

会議の参加者によると、障害を乗り越える方法はあるものの、そのためには非常に長期の手続きが必要になる可能性があるという。

「我々はそれほど多くの責任追及の仕組みや論拠を手にしている訳ではありません」と戦争犯罪が疑われた場合に証拠を集め捜査を行う団体、シリア正義と責任センターの創設者、モハメド・アル・アブダッラー氏は述べた。

「一部加盟国や市民社会、IIIM、調査委員会による努力にもかかわらず、放置されたままの戦争犯罪が数多くあるのです」

来年3月で、シリア内戦のきっかけとなった暴動から12年目を迎える。内戦では国が分裂し、その大半が市民である35万人以上の死者と、それを上回る負傷者を出した。さらに、700万人が難民となり、シリア内外で避難生活を送っている。

シリアで投獄され、政権によって拷問を受けたアル・アブダッラー氏は、シリアで起きた悲劇と戦争犯罪の組み合わせは、しかるべき個人に最終的に責任を負わせるための新たなプロセスを生み出したのだと説明した。

「責任追及の努力は、実はそれほど簡単ではありません。というのも、シリアは国際刑事裁判所に関するローマ規程の批准国ではないため、シリアで行われた犯罪は国際刑事裁判所(ICC)の管轄外なのです」と彼は話した。

ローマ規定は、国際犯罪の4つの主な犯罪類型をジェノサイド、人道に対する罪、戦争犯罪、侵略犯罪と定めている。

「シリア政府には国内で独自に捜査や法的、手続きを行えるだけの過去の実績、信頼、あるいは信ぴょう性がありません」とアル・アブダッラー氏は会議で説明した。

「(バッシャール・)アサド(大統領)は2012年初めに調査委員会(の立ち上げ)を約束しましたが、実現していません。立ち消えになったのです」

「拷問を受け、殺害された人の数は…驚くべきものです。多くの人が拘留施設で亡くなりました。殺害し、拷問し、それから遺体を運び出し、別の場所に埋めるシステムが確立されていたのです」

アル・アブダッラー氏は、ICCに代わるものとして、「普遍的管轄権」の手続きを挙げた。普遍的管轄権とは、余りにも深刻と見なされる犯罪に関しては、国境を越えた訴追の義務が発生するという法的原則である。ただし、この手続きには外交特権の存在や国家元首を訴追できないなど「いくつかの点で限界が」あると氏は言う。

アル・アブダッラー氏は、アメリカでさえもかつてはイラクやアフガニスタンで無辜の市民を殺害したとして自国の兵士が告訴されるのを避けるため、普遍的管轄権の手続きを無力化しようとしていたと指摘した。

IIIMは、ロシアが拒否権を行使したために、国連安保理がシリア内戦中に政権側が関与したとされる犯罪に関して、刑事捜査を行うことができなくなった後で創設された。

「2016年に国連総会でIIIMの設立が採択されて以来、このこれまでになかった種類の捜査機関は、シリアでの戦争犯罪の証拠を集め、分析することにおいて非常に重要な役割を果たしてきました」とUSIPのマイケル・ヤッフェ副会長は17日月曜日の会議での発表で述べた。

「そしてこの作業の重要性は、ますます高まっています。というのも、紛争当事者たちは今でも市民への無差別攻撃、不法な拘留、拷問、強制失踪に関与し続けているからです」

「普遍的管轄権の原則の下で、容疑者の捜査と訴追に進展が見られますが、シリアでの国際法違反に対する責任は、定義が困難なままです」

IIIMのキャサリン・マーチ・ウヘル議長は、数々の困難はあるものの、戦争犯罪に関するデータの収集のプロセスは有益なもので、起訴につながる可能性があり、またシリア政府が自らの行動に責任を取るように圧力をかける効果があると話す。

マーチ・ウヘル氏によると、IIIMはシリアでの国際人道法違反および人権の侵害の証拠の収集・整理・保存・分析にあたっており、可能な場合には失踪者の家族が大切な人に何が起きたのかを理解できるように、データの共有に努めている。

氏はまた、IIIMは「187件の異なった捜査に関連して、正当な管轄権を有する機関から229の支援要請を受けている」と明らかにした。

アメリカ国務省のベス・ヴァン・シャアアク国際刑事司法担当無任所大使は、現在シリアでの戦争犯罪に関して、ICCの捜査権を確保すべく努力が行われていると話した。

アル・アブダッラー氏は、アメリカの対シリア政策は制裁に限定されていると指摘し、目下、強制失踪者の状況を突き止める作業のためにシリア政府から協力を引き出す努力が行われていると説明した。

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