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Wednesday, August 31, 2022

トランプ氏の証拠なき主張、大統領は自ら機密解除可能か-QuickTake - ブルームバーグ

ドナルド・トランプ氏のフロリダ州の邸宅「マールアラーゴ」に米連邦捜査局(FBI)の家宅捜索が入った。前大統領宅への前代未聞の捜索により、正確な種類は明らかでないが、機密指定の資料11組を含む二十数箱分の文書が押収された。

  今年1月にトランプ氏側が米国立公文書館に返却した15箱分の文書にも機密指定の資料が含まれていた。米大統領には機密指定を解除する広い裁量が認められており、自分が持ち出した文書もそうしたとトランプ氏は主張している。だが、その申し立てを裏付ける証拠はない。

1. 機密指定情報とは何か

  「国家安全保障上の理由から拡散や配布の限定や制限のために米政府機関が特に指定した情報」と連邦法で規定され、「トップシークレット(最高機密)」と「シークレット(極秘)」、「コンフィデンシャル(秘)」の3段階に分類される。機密情報隔離施設(SCIF)でのみ閲覧可能な「機密隔離情報(SCI)」に指定された一部の資料はアクセスがさらに厳しく制限される。

2. 機密指定と機密解除は誰が決定するか

 その権限は主に官僚に委任される。機密指定の記録を作成した機関には、一般にその情報に利害関係があると考えられる別の機関と協議して機密を解除する権限がある。

分類 基準 指定や解除を誰が行うか
トップシークレット(最高機密) 許可なく開示された場合、国家安全保障に「極めて甚大な損害」をもたらす情報 大統領と副大統領、政府機関のトップないし上記から委任を受けた当局者
シークレット(極秘) 許可なく開示された場合、国家安全保障に「深刻な損害」をもたらす情報 上記に加え、「最高機密」の取り扱い許可を持つ当局者から委任を受けた多数
コンフィデンシャル(秘) 許可なく開示された場合、国家安全保障に「損害」をもたらす情報 上記に加え、「最高機密」の取り扱い許可を持つ当局者から委任を受けた他の人々

 

3. 大統領は機密指定を自ら解除できるか

  一般論としては可能だ。1988年の 米連邦最高裁の判断は、大統領には最高司令官として「国家安全保障に関係する情報を機密指定し、アクセスを制限する権限」があると認定した。

4. では何が問題か

  マールアラーゴに持ち出された資料は全て大統領在任中に機密指定を解除したとするトランプ氏の主張を裏付ける証拠はなく、バイデン大統領が就任した時点でトランプ氏は機密解除の権限を失った。

5. トランプ氏はどう説明しているか

  トランプ氏は、大統領執務室から移動させ自宅に持ち出した文書は、移動させた時点で機密指定が解除されたと見なすという大統領の「内規」が存在したと説明。盟友のカッシュ・パテル氏は、ホワイトハウスの法律専門家らが「機密指定を変更する文書業務を怠った」との見方を示し、「情報の機密指定が解除されなかったことをそれは意味しない」と ブライトバート・ドット・コムに語った。

トランプ氏のフロリダ州の邸宅から押収された書類についてブルームバーグのジャック・フィッツパトリック記者が解説

Source: Bloomberg

6.内規は存在したか。それは機能していたか

  2人の大統領首席補佐官と国家安全保障担当補佐官1人を含むトランプ政権時代のホワイトハウス元当局者らはそのような内規は知らないと証言し、仮に存在しても反対しただろうと一部の人々は話す。そのような内規があったとしても、大統領は機密指定が解除されたことを情報の保護責任者に知らせる義務があり、新たな分類を反映する物理的表示が必要だったはずだ。

  トランプ陣営とロシアとのつながりに関する捜査関連資料について「機密指定の即時解除」を指示する当時のトランプ大統領のプレスリリースは、大統領令ではなく、機密指定は続いているとした米司法省の主張を2018年に連邦地裁は 認めた

7. トランプ氏が機密指定を解除していれば全て終わりか

  必ずしもそうではない。FBIによるマールアラーゴ家宅捜索の根拠として捜索令状が挙げた「国防関連情報の持ち出し」と「公文書の隠蔽(いんぺい)」、「捜査妨害」の三つの容疑は、問題となっている機密指定された情報に左右されない。

原題:

Trump’s Claim That He ‘Declassified’ Material He Kept: QuickTake(抜粋)

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