イギリスの与党・保守党の議員は20日、ボリス・ジョンソン政権に不満を持っている保守党議員が、政府関係者から脅迫を受けていると発言した。ジョンソン首相は、証拠を確認できないと述べた。
ジョンソン首相はこのところ、新型コロナウイルス対策の各種制限が敷かれていた間に首相官邸を含む政府機関で複数のパーティーが開かれていたことが発覚し、与野党から厳しい批判を受けている。
首相の辞任を求める一部の保守党議員は、ジョンソン氏に対する不信任を表明する書簡を提出している。
そうした中、保守党のウィリアム・ラグ議員は、不信任の書簡提出を考えている議員が政府側から脅迫を受けていると発言した。悪いうわさを流す、選挙区への補助金を削減するなどと言われたという。
その上で、脅威を感じている議員は警察に連絡するよう呼びかけた。
前日の19日には、クリスチャン・ウェイクフォード議員が保守党から労働党にくら替えすると発表。その後、自身も保守党時代に脅迫を受けたことがあると述べた。
ジョンソン首相は一連の報告について、「そのような証拠は見たことも聞いたこともない」と述べた。
一方で、報告について「もちろん」調査すると話した。
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ラグ議員は、自身が委員長を務める下院委員会で、議会で党内の統率を取る幹事長らが、首相に不信感を抱いている議員を脅していると発言した。
また、閣僚や首相官邸の顧問、職員などが、首相に不信感を持っている議員を「辱めるような記事を報道機関に書くよう推進している」という報告を受けたと述べた。
その上で、「これは構造的な脅迫に思える」とし、影響を受けている議員は警察と下院議長に報告するべきだと呼びかけた。
サー・リンジー・ホイル下院議長はこれについて、「深刻な疑惑」が上がってきているとして、懸念がある議員は報告するようにと述べた。
また、閣僚やそのスタッフは「刑法を上回る存在ではない」と述べた。
一方で、「違法行為疑惑の捜査は警察の仕事であり、訴追するかは検察当局が決定することだ」とした。
指示通りに投票するよう「脅迫された」
ウェイクフォード議員は19日、ジョンソン首相には指導力がないとして、労働党へのくら替えを発表した。
その後、保守党にいた際に、政府を支持するよう脅されたことがあると述べた。
BBCノース・ウエスト・トゥナイトに出演したウェイクフォード議員は、「ある議会投票で指示通りにしなければ、ラドクリフ地区に学校を建てられないと脅されたことがある」と説明。
「この地区には、過去10年のほとんどの期間、高校がない。たった1回の投票で、この町の再生を妨げると分かった場合、どんな気持ちになるかわかりますか?」と語った。
同議員は、このことが「自分を不安にさせ、自分の立ち位置を疑問に思うようになり、最終的にはここ(労働党)にいることになった」と述べた。
「裏付けのない話」
労働党のアンジェラ・レイナー副党首は一連の報告に「ショッキング」だと反応。自由民主党のサー・エド・デイヴィー党首は、ジョンソン氏は「首相というよりマフィアのボスのように振る舞っている」と批判した。
スコットランドのニコラ・スタージョン第一首相は、「ジョンソン政権の中心における倫理的な腐敗は、我々が思っている以上にひどいかもしれない」と述べた。
一方、ナディーン・ドリース文化相は、ラグ議員が「注目を集めたいだけ」で、主張も「ナンセンスなもの」だと一蹴した。
院内幹事長経験のあるグレッグ・ハンズ・エネルギー相は、ウェイクフィールド議員はくら替えしたことで「保守党をおとしめる」ことが仕事になっており、「信用できる情報源」ではないと述べた。
ラグ議員の発言についてもは、「誰からも裏付けられていない」もので、「実際に起きた話ではない」と指摘した。
保守党内の動き
首相官邸の庭でロックダウン中にパーティーが開かれていたことをめぐり、保守党内ではジョンソン首相の罷免を目指す動きが出ている。
首相の指導力に疑問を持った保守党議員は、党首選を実施する権限をもつ「1922年委員会」に、不信任を伝える書簡を提出することができる。この書簡が54人分集まると党内で不信任投票が行われる。不信任案が可決されれば保守党の党首選が開かれる。
これまでに6人の議員が書簡を提出したと発表しているが、提出者は今後さらに増えるとみられている。
内閣は現在、レベルアップ・住宅・コミュニティー省のスー・グレイ第二事務次官に一連の出来事について調査を依頼している。ジョンソン首相は政権に不信感を持つ議員に対し、グレイ氏の調査結果を待つべきだと述べている。
からの記事と詳細 ( 英政権に不満もつ与党議員、「政府に脅された」 ジョンソン首相は「証拠ない」 - BBCニュース )
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