コロナ陽性疑いにも動揺なし、プレーに集中
12月26日、川崎ブレイブサンダースが敵地に乗り込み琉球ゴールデンキングスと対戦。36得点と大暴れのニック・ファジーカスを軸に、第3クォーターまでに大量リードを奪った川崎が80-72で勝利した。これで川崎は連敗を3で止めている。
第1クォーター、川崎は前節のベンチスタートから先発復帰の藤井祐眞が得意のドライブによってシューティングファウルを連続で獲得し、チームに流れをもたらす。その後はともにタフな守備が光り、第1クォーター残り4分の時点で川崎の7-4とロースコアの出だしとなるが、ここから川崎はファジーカスの得点で17-13とリードする。
第2クォーターに入ると、川崎はファジーカス、パブロ・アギラール、セドリック・シモンズによるビッグラインアップを使うなど、引き続きゴール下を重点的に守っていく。それによって琉球はインサイドの得点を止められ、アウトサイドでのオープンシュートを決めきれないことでオフェンスが停滞してしまう。
後半開始時点で10点をリードする川崎は、連動した動きでズレを作り出すオフェンスが機能。ターンオーバー奪取からのアーリーオフェンスでファジーカスがバスケット・カウントを決めるなど、エースの爆発によって一気に突き放す。そして、残り4分21秒にはアギラールの3ポイントシュートでリードを20点にまで広げた。
このまま川崎の圧勝になるかと思われたが、第4クォーターに入ると琉球はようやくアウトサイドシュートに当たりが来る。このクォーターだけで3ポイントシュート10本中7本成功の岸本隆一の大暴れによって、残り3分には7点差にまで追い上げる。しかし、ここで川崎はその前のオフェンスでフリースローを2本連続失敗していた篠山竜青が汚名返上のジャンプシュートを決め、そこから守備を再び立て直し、琉球の反撃を抑え逃げ切った。
試合後、川崎の佐藤賢次ヘッドコーチは「とにかく練習でやってきたことがコートで出て、コーチとしてうれしい試合となりました」と第一声で語る。先週はホームで京都ハンナリーズ相手に敗れ、3連敗中だったがチームの状態について大きな焦りはなかったと続ける。「非常に雰囲気良く練習はできていて、課題に対して取り組めている実感はありました。京都戦はすごく残念でしたが、効果がでてきた部分はあったので、連敗だからとチーム状況が悪く落ち込んではいませんでした」
そして、指揮官は故障で12月から欠場が続いていた長谷川技の復帰も大きな助けになったと強調する。「ディフェンスのリーダーとしてチームを引っ張ってくれました。何本も良い守備をしてくれ、そこは非常に大きかったです」
猛反撃の岸本隆一「仕事をするのが遅かった」
川崎では今週に入ってリーグ実施のPCR検査でスタッフの1名が陽性疑いとなり、医療機関によって陰性が確認される一件があった。状況によっては、今節の出場が不透明となりかねないところだったが、佐藤ヘッドコーチは「もともと『こうなったらこうしよう』とチームにあったフローに沿って動けたと思います」と、大きな影響はなかったと語る。
「もちろん、どうなるのか分からない状況はこれからも続きます。今回、チームとしてしっかり動けました。そして、これからも何が起きてもしっかりプレーに集中できる体制を整えられると思っています」
一方、第4クォーターの猛追も届かなかった琉球の藤田弘輝ヘッドコーチは「うまく行っていない時間帯にポシティブにプレーし、ディフェンスから流れを作るようにしていきたい」と、守備で我慢しきれずに崩れてしまった反省を語る。また、この試合で2点シュートの試投数が25本に対し、3ポイントシュートは39本とアウトサイドに偏ってしまった点について「あれだけ中に寄られたら出した方がいいです。印象としては良いシュートを打っていました」と、シュートセレクション自体は問題ではなかったとの見解だ。
ただ、それでも「バランスは大事で、ジャック(クーリー)から離れてしまった時間が結構ありました。彼のポストアップ、ダックインをもっと絡めていきたい」と、今日の試合ではゴール下の攻めを増やす必要はあると見る。
26得点の岸本隆一もチームが負けて満足感は全くない。「コートに出ている以上は、3ポイントシュートを狙い続けるのが僕の仕事です。そこに変化はなかったですが、ゲームの流れで見た時に仕事をするのが遅かった。明日はもっと早い段階で、この流れを作り出すようにしていきたいです」
この試合、ペイント内得点で川崎が48-14と優位に立ったのが大きな勝因となった。今日の試合も引き続き、ゴール下の主導権争いが明暗を分けるポイントとなってくるはずだ。
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