兄弟、ときに両親も名前で呼ぶ習慣のあるアメリカですが、ハリケーンなどにも名前をつけて呼ぶことはよく知られている事実かと思います。先月アメリカ南部に上陸して被害をもたらしたハリケーンは「ローラ(Laura)」、そのあと発生したハリケーンは「マルコ(Marco)」でした。まもなく「サリー(Sally)」がアメリカに上陸しようとしています。
テディ―発生
現地時間14日(月)、大西洋中部の海域で、なんとも可愛すぎる名前の「テディ(Teddy)」が発生しました。
クマのぬいぐるみを彷彿とさせるその愛らしい名前とは裏腹に、テディは急速に発達して、最大風速50m/sを超すような強力なハリケーンへと発達する予想が出ています。ただ海上で衰退する見込みで、陸地に被害をもたらす可能性は低そうです。
ヴィッキーも発生
さらにテディの発生から数時間後、近海で「ヴィッキー(Vicky)」が発生しています。
これで一時大西洋には、サリー、ポーレット、レネー、テディー、ヴィッキーの5つが並ぶという、1971年以来で初の事態が起こりました。(現在レネーは消滅)
名前が付けられる条件
ところで、名前が付けられる熱帯性の低気圧は、最大風速17m/s以上33m/s以下のトロピカルストーム、そして34m/s以上のハリケーンです。
今年大西洋では、過去に類を見ないペースでこうした嵐が次々に発生しており、名前の付いたものはすでに20個も発生しています。年間平均は10.1個なので、すでに倍なのです。
しかも9月下旬から10月にかけての時期は海水温がピークに達し、ハリケーンシーズンの最盛期であることから、数はまだまだ増えることが予想されます。
名前の枯渇問題
ここで問題が発生します。
ハリケーンの名前は、前もってリストが作成されており、そのリストに従い発生順に名前が付けられていきます。
今年のリストは下記のようなものです。アルファベット順になっていますが、QやU、X、Y、Zといった名前の付けにくい5つのアルファベットは除外されているので、リストには計21個しか名前がありません。
今ヴィッキーが発生しているとなると、残りは「ウィルフレッド(Wilfred)」のみになり、次の名前はどうなるのかという問題が生じます。
救世主はギリシャ文字
それを解決するのが、ギリシャ文字で、アルファ(α)、ベータ(β)、ガンマ(γ)を使うという方法です。数学に時間に見たことがあるという方も多いのではないでしょうか。
実際、これまでに大西洋のハリケーンにこれらの文字が使われたことが一度だけありました。それは2005年のことです。この年は史上初めて27個の名前が登場して、12月30日に発生した最後の熱帯低気圧が「ジータ(ζ)」と名付けられました。
ギリシャ文字には24字あるので、これが枯渇することはなさそうですが、今年は、史上初めてイータ(η)やシータ(θ)といった名前のハリケーンが誕生するかもしれません。
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September 15, 2020 at 09:15AM
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