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Saturday, April 25, 2020

「ゴルフにレフェリーはいない。プレーヤーは自らがレフェリーであって、すべての問題を裁決し、処理し、責任をとらなければならないのだ」――ホレス・ハッチンソン|ゴルフは名言でうまくなる|岡上貞夫 - gentosha.jp

1mのショートパットは最高の家練だ

新型コロナウイルス感染症で大変なご時世だ。ゴルフ場は練習場も含め、営業を自粛したり、感染予防のためにできる限りの防護策をとったりしている。

コースでは、感染リスクの高い風呂場とレストランを閉め、プレーだけは18ホールスルーでOKという営業形態も取っているところもあるようだ。練習場も消毒液を置くなど、感染予防に配慮しながら営業している。

ゴルファーは、クラブメーカーの宣伝文句に騙されて高価なドライバーをついつい買ってしまったりするものだが、こういうときは正確な情報を自らの判断で分析し、喧伝に惑わされずに行動することが大事だと思う。

「他人の迷惑になるようなことを避ける」――これがゴルファーのマナーの基本精神だ。そして、そのことによってコースに来たすべてのプレーヤーが楽しく快適にプレーできる。自らを厳しく律し、行動することが、ゴルフのルールとマナーの基本的な考え方なのだ。

1886年、87年と全英アマを連覇したホレス・ハッチンソンの言葉どおり、自らがレフェリーとなってすべての問題を自分で決断し、処理し、責任を取る――今それが求められているのだと思う。

この事態が収束したらまた楽しくゴルフができるよう、それまでは家でできる練習をしたり、ルールやマナーの勉強をするのがいいだろう。

家でできる練習の最たるものは、パッティングだ。とくに1m程度のショートパットを根気よく続けて自信をつければ、再開後のゴルフに大いに役立つはずだ。

1mのパットに自信が持てれば、ロングパットも気持ちが楽になる。直径2mの円をイメージして、その中に入れば2パットでいけるからだ。楽な気持ちになっていれば、ストロークもスムーズになりやすく、ピッタリ寄ることも増える。

7番アイアンなどのランニングアプローチでいけそうなグリーン近くからのショットも、同様に考えればあまり緊張せずにストロークできる。

さらには、グリーンを狙うアイアンショットも、無理にピンの近くへ乗せようと考えなくてよくなる。グリーンセンターや、アプローチしやすくてハザードを避けられる安全な場所を狙う余裕につながるのだ。

そうするとドライバーも、林やハザードさえ避けられて、次が打てる場所であればいいと思えてくる。無理に飛ばそうとしなくなり、結果的にいいところに打てる確率も上がる。

このように、1mのパットに自信を持つことは、ゴルフ全体に連鎖反応的な好影響を及ぼすのだ。外出自粛中の家錬でやるべき最たるものというのも、うなずけるだろう。

家の中でも集中して慎重に

コースで調子よくプレーできていたのに、流れが変わって崩れてしまうということがよくある。そのターニングポイントとなるのが、外すとダブルボギーになってしまう1mのパットだったりするものだ。

そういうパットは大概、アプローチをミスしてロングパットが残り、それがデッドに寄らず、残り1m……というような形で訪れる。その1mをなんとか入れてボギーで止められたときは、パーやバーディを取ったときとは違った達成感があり、その後の調子を崩さずに済むものだ。

たかが1m、されど1m。だから1mのパットを練習することが大事なのだ。

では、その1mパットで心がけるべきポイント、集中すべきポイントとは何だろうか?

家の中だからといって緊張感もなく、ただポンポンと打ってしまいがちだが、それでは上達しない。

心がけるべきは、芯でヒットすることだ。パターのフェースに手でボールをぶつけてみると、どのへんが芯なのかがわかるはずだ。そこに印をつけるなどして、確実に芯でヒットできるように練習して、感触を記憶に刻みたい。

パターヘッドをかなり浮かせて構えたり、ボールから少し離れた後方にヘッドをセットしたりするプレーヤーがよくいるが、これらは「芯で打つ」という点からいうと好ましくない。

芯で打つなら、ボールにくっつきそうなぐらい、パターのフェースをピッタリ合わせてアドレスするのがコツだと、中部銀次郎さんは言っている。

パターのフェースがボールに触れたとしても、転がらなければペナルティはつかない。とはいえ転がってしまっては大変だから、ピッタリ・ギリギリにヘッドをセットするには、慎重を期さなければいけない。

この緊張感が、実戦に近いパッティングの練習にもなるのだ。芯で打たれたボールは、転がりがスムーズで方向性もいいから、当然入る確率も上がる。

ワンポイントを意識して雑念を払う

パッティングのアドレスでは、なかなか毎回同じようには構えられないものだ。人間は毎日同じフィーリングを持続できないようで、「昨日しっくりきた構えが、今日はしっくりこない」ということはよくある。

だから、そのへんの微妙な「しっくり感」のようなものは、アバウトでいいと銀次郎さんは言う。そのうえで、基本的な姿勢は「パターに聞くのがいい」ともおっしゃる。

パターにもライ角があり、吊り下げるように構える人はヒール側が浮き、ハンドダウンして構える人は青木功プロのようにトウ側が浮く。

しかし、基本的にはソール全体が地面に接するようなアドレスが望ましく、それを意識することで姿勢の狂いが少なくなるというのが銀次郎さんの言葉の意味だ。

パッティングフォームには人それぞれのクセが出るものだが、ソール全体を地面につけ、ライ角どおりにセットしたパターに対してグリップして構えれば、いつも同じような姿勢になるはずだ。

その構えがどうにも感覚的にしっくりこないという場合には、自分の感性とパターのライ角が合っていないということになる。

極端にボールの近くに立つとしっくりくる人には、一般的なパターのライ角はフラットすぎてヒール側が浮くし、逆にボールから離れて立つ人はトウ側が浮く。

そういう人は、工房のあるゴルフショップにパターを持ち込んで、ライ角を調整してもらうこともひとつの方法だ。一度、自分のパッティングフォームに合うライ角を診断してもらうのもいいだろう。

また、ライ角調整機能や長さ調整機能がついているパターもある。そういうパターを1本持っておいて、自分のフォームに合うライ角や長さを確認してみると、新しい発見があるかもしれない。

コースでパットをするときには、さまざまな雑念が入ってくるものだ。「こんな短いのは外せないぞ」「下りだからパンチが入ったらいかんぞ」「これを入れればパーで優勝だ」などなど、これでもかといろいろな思いが去来する。

そういう雑念をシャットアウトして、何も考えないような状態でストロークできたときのほうが、いいパットが打てて入ることも多い。

にもかかわらず、雑念は否応なしに入り込んでくる。これを克服するにはどうするといいのだろうか。銀次郎さんは、何かひとつだけチェックポイントを意識することで、ほかのことは忘れるのだという。

銀次郎さんのチェックポイントは、「左手の小指をしっかり握る」ことだったそうだ。

チェックポイントは人によって違ってもいい。私の場合は、「ボール(とフェースの接点)をしっかり見て、ヘッドアップしない」ということだけを考え、ほかのことは考えないようにしている。

そうすれば芯でヒットしやすいし、打ち損じや変な操作もしないで済むように感じている。

家での1mのパット練習でも、徹底してこれを守るようにして、雑念を払えるようになりたいものである。

今回のまとめ

1. 外出自粛中は、家で1mのパットを練習しよう

2. 1mのパットに自信を持てれば、ゴルフ全体へ好影響が連鎖する。またゴルフ場へ行けるようになったとき、その効果は大きい

3. ライ角に合ったフォームを模索するか、フォームに合ったライ角のパターを手に入れよう。ストロークするときは、ワンポイントのみに集中して雑念を払うこと

*   *   *

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参考資料:中原まこと『中部銀次郎のグリーン周り』政岡としや画、ゴルフダイジェスト文庫、2011年

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April 26, 2020 at 04:06AM
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