とにかく明るいキャプテンがチームを太陽の下へ導いた。巨人坂本勇人内野手(31)が22日、川崎市のジャイアンツ球場で個人調整。3月26日からの期間中、室内で行ってきた打撃練習の屋外での実施を提案した。新型コロナウイルスの影響で開幕が遅れ、榎本喜八の持つ最年少での2000安打記録(31歳7カ月)更新が絶望的になる中、キャプテンとしてチームを元気づける。

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久々に2機のケージが設置された晴天のグラウンドへ、坂本がバットを持って現れた。3月26日から始まった個人調整期間中、これまでの打撃練習は室内で行ってきた。青空の下、キャプテン自ら屋外での実施を提案。気温の上がる中、丸、岡本、亀井、パーラ、中島らとフリー打撃で感触を確かめた。「外で久しぶりにバッティング練習ができてよかった」。“安心してください”と言わんばかりに快音を響かせた。

レギュラーに定着した08年から12年連続でシーズン120安打以上をマークし、2000安打まであと116本に迫った。最年少での2000安打記録は榎本喜八の持つ31歳7カ月で、7月までに打てば更新できる状況だった。しかし開幕の見通しが立たず、88年12月14日生まれの坂本の新記録樹立は、難しくなった。。常々「あまり自分で意識してやってきたことではないので」と話していたが、モチベーションの1つではあったに違いない。それでも「みんな、今できることを精いっぱいしている」と、前を向く。

天候の良い日は、積極的にグラウンドで体を動かし徹底的に走り込む。外野ノックにも参加し、声を出す。まるで若手のようなプロ14年目の31歳キャプテンが、チームの雰囲気を好転させる。周囲への感謝も忘れず「いろいろな制限がある中で選手だけでなく、球団や裏方スタッフの方々も練習に協力してくれている。このような状況でも練習できていることに改めて感謝しています」と言った。

ファンと盛り上がれる日を信じて-。毎日最善の練習をくり返す。「1日でも早い(新型コロナウイルスの)終息を願っています。ファンの皆さんに元気なプレーを、また球場で見てもらいたいですね」。決して暗い顔は見せない。それが坂本だ。【久永壮真】

<今季の達成が難しくなった記録>

岸(楽天)は広島戦、内海(西武)は巨人戦、西勇(阪神)は巨人戦とオリックス戦で白星を挙げれば全球団勝利を達成できたが、交流戦が中止となり来季以降にお預け。残り日本ハム戦の陽岱鋼(巨人)と残りヤクルト戦のバレンティン(ソフトバンク)の全球団本塁打も今季の達成がなくなった。試合数が削減され、残り134試合の福留(阪神)の2000試合出場、同じく残り134試合の堂上(中日)と明石(ソフトバンク)の1000試合出場は来季以降に持ち越し、残り37セーブに迫った山崎(DeNA)の通算200セーブは黄信号。シーズン40本塁打が難しくなり、日本人選手では85~87年秋山(西武)以来となる山川(西武)の3年連続40本塁打も微妙になった。