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Friday, March 27, 2020

<判決に望む 呼吸器事件再審>(下) 元検察官・市川寛弁護士に聞く - 中日新聞

市川寛弁護士

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 「呼吸器事件」の再審請求審では、大阪高裁が二〇一七年に死因などの疑問点を指摘し再審開始を決定した後も、検察側は特別抗告。再審公判でも一時、有罪立証をして争う姿勢を見せた。弁護側が求めた証拠開示も、開示されたのは一部にとどまった。元検察官の市川寛弁護士に、検察の組織風土や体質を聞いた。

◆徹底して戦う

 検事にとって、裁判は勝ち負けの戦い。弁護士のことは下に見ているので、負けると頭にくる。そういう組織風土に染められてしまう。再審事件は最初の起訴からも時間がたっていて、起訴した検事は出世している。その人の事件をつぶすわけにもいかなくなる。組織や人を守るために特別抗告を続けてしまう。

 呼吸器事件は、法廷にすでに出ている証拠だけで明らかに無罪。それでも(特別抗告をして)最高裁まで行った。

◆証拠開示

 捜査をまじめにやるほど、当然、マイナス(無罪方向)の証拠は出る。検事からすると「マイナスの証拠も見た上で公平に評価して起訴しているのに、弁護士はそのマイナスを針小棒大に言って、裁判官もそれに影響されてしまう」という感覚。それなら見せないようにしようと考える。

 逮捕後の二十日間の勾留期間で、すべての真実が明らかになることはあり得ない。だから、安易に自白に頼ってしまう。未解明の部分があるからといって起訴を避ける検事は、弱気だと思われる。国民の期待も背景にある。「早く犯人を捕まえろ、早く有罪にしろ」という民意や報道がある。検事はそれを気にする。

◆第三者調査委を

 判決は、「いいかげんな自白をとるな」とか、手続き違反があったことを書くべきだ。そうでないと、検察は反省しない。とはいえ、本当に冤罪(えんざい)をなくすためには判決だけでは限界がある。第三者の調査委員会を作る必要がある。

 冤罪防止のためには、国民全体で考えなければいけない。「逮捕されたら犯人」という価値観を変えて、「法廷で無罪になってもいいじゃないか」という民意にならないと、冤罪はなくならない。人間だから間違いはある。「次からは気を付けなさい」という叱り方をしてほしい。

 (聞き手・岡屋京佑)

 <いちかわ・ひろし> 1965年生まれ、神奈川県出身。90年に司法試験に合格し、93年から検事に任官。横浜、徳島、大阪などの地検を経て、2000年には三席検事として佐賀地検に勤務。当時担当した佐賀市農協背任事件で、冤罪を作り出したと著書で語り、法廷でも不当な取り調べを証言した。05年に辞職し、07年に弁護士登録。「再審法改正をめざす市民の会」で運営委員を務めるなど、冤罪被害救済の取り組みを続けている。54歳。

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