UNRWA(=国連パレスチナ難民救済事業機関)の清田明宏保健局長は、16日東京で慌ただしく駆けずり回っていた。行き先は自民党本部、外務省、議員会館など。目的は、日本にUNRWAへの資金拠出の再開するよう説得するためだ。
2024年1月、UNRWAの複数の職員が、2023年10月のハマスによる襲撃に関与した疑いが浮上、日本を含む10カ国以上が、UNRWAへの資金拠出を停止している。
この記事の画像(5枚)停止の影響は深刻だ。現在ガザ地区最南部のラファには、もともと30万人の都市に140万人の市民が避難している。ラファにあるUNRWAの2000人が収容できる施設に、2万8000人が避難しているため、トイレは500人あたりに1つ、シャワーは3000人あたりに1つ。食糧、水が不足し、A型肝炎や下痢、呼吸器疾患の感染症が拡大しているという。
清田氏がそうした状況を説明すると、政府関係者や議員の半分は理解を示したものの、再発防止策の提示が優先、各国の対応をみながら判断したいなど、再開の見込みは今後の協議に委ねられた。
日本から拠出される予定だった3500万米ドル(日本円で50億円相当)には、ガザ地区の人道危機への支援のほかにも、レバノンにいる200名以上のがん患者の手術と治療費用に充てられる予定だったものも含まれている。200人を超えるガン患者の治療はいつおこなわれるのか予定がたたなくなっているという。
イスラエル襲撃に国連職員関与の“疑惑…証拠は確認されず
そもそも証拠が確認されていない。資金拠出停止のきっかけになったのが、イスラエル襲撃に国連職員が関与したという疑惑だ。しかし、この関与について、イスラエル側はまだ根拠となる証拠を、国連の調査機関に示していないと清田氏はいう。
1月中旬に、イスラエル側からUNRWA職員が襲撃に関与したとして、12名の氏名が口頭で伝えられたが、それ以降、具体的な証拠はまだ確認されていないという。12人のうち2人はすでに死亡していたが、残る10人については、疑惑の段階だったが解雇に踏み切った。
現在、複数の団体で独立した調査が実施されているが、イスラエル側から証拠が示されなければ調査の進展も望めないのが現状だ。調査結果を待ち、再発防止策を策定するのが遅れれば遅れるほど、ガザ地区の人道危機はさらに深刻化してしまう。
清田氏は、「疑惑の段階だが、真相を究明して事実であれば再発防止策を作るのは当然大事だと考えている。しかし、資金の拠出がとまってしまうと職員の給料が払えず、支援が止まってしまう」と語る。
清田氏は、昼食の時間も惜しんで、また別の要人を説得しに出かけていった。
【取材・執筆:フジテレビ国際取材部デスク 大塚隆広】
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