57年前、静岡県で一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さんの再審=やり直しの裁判に向けた裁判所と弁護団、検察による事前の協議が開かれ、弁護団と検察の双方が再審で取り調べを求める証拠がほぼ出そろいました。
57年前の1966年に今の静岡市清水区で一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さん(87)について、東京高等裁判所はことし3月、再審を認める決定を出し、静岡地方裁判所でやり直しの裁判が開かれることになりました。
検察は再審で袴田さんの有罪を求める立証を行う方針で、19日、再審に向けた4回目の3者協議が静岡地方裁判所で開かれました。
弁護団によりますと、協議では弁護団と検察の双方が再審で取り調べを求める証拠がほぼ出そろい、裁判所は取り調べることに同意するか来月末までに、意見を述べるよう双方に求めたということです。
検察側の証拠は再審で新たに提出する意向の鑑定書など16点を含むあわせて245点で、弁護団の証拠はあわせて269点だということです。
このうち、再審請求の審理で取り調べられた証拠については、基本的には同意することを双方が確認したということで、弁護団の事務局長の小川秀世弁護士は「非常に迅速に審理が進む可能性が出てきたので、大いに前進したと思う」と話していました。
弁護団はことし9月から再審を始めるよう裁判所に文書で申し入れていましたが、裁判所からは、「警備上の問題がありすぐに期日を決めることはできない」という見解が示され、きょうの協議では認められなかったということです。
次回の協議は9月12日に開かれます。
協議のあと、弁護団と袴田さんの姉のひで子さんが会見を開きました。
この中で小川弁護士は、今後の審理の見通しについて、裁判長から「1回目の再審請求のときに非常に時間がかかっているから裁判所としても責任を感じている。できるかぎり早期に審理を進めたい」と言われたことを明らかにしました。
その上で、弁護団がこれまで年内での判決を求めてきたことについて小川弁護士は、「審理自体は年内で終わらせたい」という考えを示しました。
また、検察が再審で提出する意向を示している、法医学者による鑑定書などの新たな証拠について、間光洋弁護士は、「『審理の蒸し返し』であることを理由に、却下を求める意見書を準備していて、8月末までに提出したい。いま、お互いのカードを出し合っているので、こちらも証拠を追加するかもしれない」と述べました。
きょうの協議についてひで子さんは、「再審に向けて進んでいると思いました。今まではそんなこと思いませんでしたが、きょうは検事さんも一生懸命話してくれたので、進んでいると思っています」と話していました。
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