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高脂肪食により脂肪が蓄積して肝障害を起こす「非アルコール性脂肪肝」は、肝がんへ進行する場合もある、気をつけるべき「生活習慣病」の一つです。残念ながら、脂肪肝の根本的な治療薬はまだありません。
この脂肪肝では、オートファジーが低下することが報告されていることから、消化器内科の竹原徹郎さんや田中聡司さんたちと脂肪肝を発症するメカニズムの解明に挑んだ吉森保さん。前回は、オートファゴソームの形成までは進むものの、p62というタンパク質が分解されず、肝臓内で増加していることが、マウス実験から明らかになった経緯をご紹介しました。
そこで見出したのは、オートファジーの機能低下に関わっているタンパク質「ルビコン」の増加。しかし、「増えた」だけでは証拠になりません。脂肪肝への関与はどのように確かめられたのか、その研究過程を見てみましょう。
*本記事は吉森 保 著『生命を守るしくみ オートファジー』(ブルーバックス)を抜粋・再編集したものです。
ルビコンがオートファジーを抑制
オートファジーの機能が低下したときに、量が増えたり減ったりしているタンパク質があれば、それがオートファジーの機能低下に関わっている可能性がある。
オートファジーに関わっているタンパク質を網羅的に調べた結果、オートファジーの機能が低下したときに量が変化していたタンパク質はただ一つ、ルビコン(Rubicon)だけだった。詳しい説明は本書で述べているが、ルビコンは2009年に私たちが発見したタンパク質である。
オートファジーの機能が低下したときに、ルビコンの量が増えていた。
しかし、この実験の結果だけでは、ルビコンの増加がオートファジーの機能低下の原因であるとは言い切れない。ルビコンの増加とオートファジーの機能低下には、確かに相関関係がある。しかし因果関係、つまり原因と結果の関係があるかどうかを確かめる必要がある。
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