海上自衛隊の護衛艦の海士長だった西山大弥(ひろや)さん(当時20歳)が自殺したのは上官からのパワーハラスメントや長時間労働が原因だとして、両親が国に計約7800万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が7日、長崎地裁佐世保支部(矢崎豊裁判長)であった。原告側は、自殺に関する海自の調査資料の全面開示などを求め、国側は請求棄却を主張した。
訴状などによると、西山さんは2019年4月に海自に入隊し、同10月から佐世保基地を母港とする護衛艦「あけぼの」の船務科に所属。19歳だった20年9月ごろ、自身を含め複数の未成年の隊員で飲酒したことに対し西山さんだけが「自己反省ノート」を毎日作成するなどの指導を受けた。また、上官から「真に反省している」などと評価されなければ無期限で上陸が禁止されるペナルティーも受けた。
21年2月9日、西山さんは同僚に頼まれて米軍佐世保基地内のファストフード店で買い物をしたことに対し、複数の上官から厳しい叱責を受け、翌10日、艦内の空調室内で命を絶っているのが見つかった。
海自佐世保地方総監部は22年6月に西山さんの自殺を公務災害と認定し、両親は海自側から時間外労働が長時間に及んだためなどと説明を受けた。
これに対し、両親の代理人弁護士はこの日の意見陳述で「自死の真の原因はパワハラにあり、時間外労働が長時間に及んだこと自体もさまざまなパワハラの結果だ」と指摘。「自己反省ノートの作成や上陸禁止などの異常な指示・指導が背景にある」として、関係者の供述調書など海自の調査資料を開示するよう求めた。【松本美緒、川島一起】
自己反省ノート「なぜこんなことを」
両親は、亡くなった西山大弥さんがパワーハラスメントを受けていたことを立証する証拠として、上官の指示で書かされていた「自己反省ノート」を長崎地裁佐世保支部に提出した。
訴状によると、西山さんを含む複数の未成年が飲酒したことに対するペナルティーとして、西山さんだけがノートを書かされた。
ノートは2020年10月2日から記載が始まり、当初は業務の反省などが中心だったが、同22日からは他の隊員が起こした飲酒運転事故や暴行、窃盗、パワハラ、女性隊員へののぞき行為といった不祥事について「原因」「防止策」「自分だった場合(どうするか)」などを書かされていた。
遺品の中からノートを見つけた父賢二さん(48)は「なぜこんなことを書かせたのか。繰り返し書かされ、大弥はつらかったろう」と語った。
からの記事と詳細 ( 海自パワハラ初弁論、両親が「自己反省ノート」を証拠提出 長崎 - 毎日新聞 )
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