再審開始を待つ原口アヤ子さん=5月24日、鹿児島県内(大崎事件弁護団提供)
確定判決によると、原口さんの義弟だった男性は79年10月12日、酔って道路脇の側溝付近に倒れているのが発見され、近隣住民2人が自宅に運んだ後、原口さんら親族3人が首をタオルで絞めて殺害。おいを加えた4人で牛小屋に遺棄した。原口さんは一貫して否認し、3人の自白が有罪を支える。
原口さんの再審請求はこれまで、1次で地裁、3次で地裁と高裁が開始決定を出したが、いずれも上級審で棄却されている。
第4次請求で弁護団は、「男性は絞殺ではなく、自転車で側溝に転落したことによる事故死。確定判決の殺害時刻には既に死亡していた」と主張。検察側は「弁護側の主張は信用に値しない」として棄却を求めている。
4次での審理で弁護団は医学鑑定と供述鑑定を新証拠として提出。互いに補強し合う“車の両輪”として証明力に自信を見せていた。医学鑑定は埼玉医科大学高度救命救急センター長の澤野誠医師が解剖時の写真を基に、「転落で頸椎(けいつい)を損傷した上、頸椎を固定しないまま軽トラックの荷台に放り込まれたことで症状が悪化。自宅に到着した午後9時には死亡していた」と指摘。供述鑑定は、男性を救助し軽トラックで運んだ近隣住民2人の「生きたまま自宅の土間に置いて帰った」との供述を巡り、心理学や情報科学の専門家が虚偽の可能性が高いと分析した。
地裁決定では「頸椎を損傷した結果、横隔膜の運動まひなどで呼吸停止した可能性は否定できない」と医学鑑定の証明力を認めた。一方で、住民2人の供述の信用性は減殺されないとして、確定判決が認定した頸部圧迫による窒息死について「合理的疑いが生じるものではない」と結論付けた。
この決定に弁護団は「事故死の可能性を認めた時点で『男性が1人で立ち、自宅玄関に向かった』との住民供述の信用性は揺らぐはず。論理則、経験則違反だ」と批判。即時抗告審では、澤野医師の見地を追加した意見書などを高裁支部に提出し、「新旧証拠を総合評価すべきだ」と主張している。
検察側は法医学の観点から所見を示した佐藤寛晃・産業医科大学教授の回答書を提出。澤野医師の意見書に対して「死因や死亡時期を診断する上では意味をなさない」と反論している。
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