京都市北区の大学生だった女性が毒性の強いタリウムの摂取で死亡した事件で、宮本一希容疑者(37)=殺人容疑で逮捕=が事件当日、女性宅のマンションを1人で何度も出入りする様子が周辺の防犯カメラに記録されていたことが捜査関係者への取材で判明した。何らかの物品を持ち出すような姿が映っており、大阪府警は証拠隠滅の動きだった疑いもあるとみている。
殺害されたのは、立命館大3年だった浜野日菜子さん(当時21歳)。アルバイト先で、イベント企画会社を経営する宮本容疑者と知り合ったとされる。
府警によると、浜野さんは2022年10月12日未明、自宅マンションで宮本容疑者と酒を飲み始めて間もなく体調が急変したとされる。この頃に致死量のタリウムを何らかの方法で摂取させられた疑いがあり、搬送された大阪府内の病院で3日後に死亡した。
捜査関係者によると、宮本容疑者は逮捕前の任意聴取で「浜野さんのせきが止まらず、薬局で薬を買って飲ませた」と説明。府警が防犯カメラ映像などから事件当日の動きを捜査した結果、宮本容疑者は市販薬の購入以外にも、浜野さん宅のマンションを複数回出入りしていた。何らかの物品を手に持って出かけた後、手ぶらで戻ってくる様子も確認された。
宮本容疑者を巡っては、浜野さんの体調急変後も119番通報せず、逮捕前の聴取に「浜野さんから『ぜんそくだから救急車を呼ばなくていい』と断られた」と説明。「仕事があり、浜野さんの両親に迎えに来てもらった」とも話していたという。
しかし、実際は浜野さんを両親に預けた後、ゴルフ練習場に出かけていたことが判明している。府警は一連の行動や説明に不自然な点があるとみて詳しい経緯を調べている。【郡悠介、洪玟香】
逮捕1週間、続く黙秘 鍵は入手経路
宮本一希容疑者は殺人容疑について黙秘を続け、捜査員との雑談にも応じていない。10日で逮捕から1週間を迎えたが、捜査はタリウムの入手経路の解明が最大の鍵になる。
事件は殺害への関与に直結する直接証拠がなく、大阪府警は防犯カメラ捜査や関係者の証言など状況証拠を収集。宮本容疑者と浜野日菜子さんの事件前後の行動を洗い出し、第三者の関与を排除したうえで逮捕に踏み切った。
こうした中、殺意の立証に欠かせないのがタリウムの入手先の特定だ。化合物の硫酸タリウムなどは毒劇物取締法で劇物に指定され、厳格な管理が求められている。
毒性学の専門家によると、過去はネズミを駆除する殺そ剤として手に入りやすい時期もあったが、代替薬の普及などで現在は薬局などでほぼ流通していない。
甲南大の園田寿・名誉教授(刑事法)は「一般的に手に入らないタリウムの取得先や経緯が明らかになれば、容疑者の犯人性を裏付ける重要な証拠になる。動機の解明も慎重に進める必要があるのではないか」と指摘した。【郡悠介】
からの記事と詳細 ( タリウム女性殺害 防犯カメラに物品持ち出す容疑者の姿 証拠隠滅か - 毎日新聞 )
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