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Saturday, September 17, 2022

集団埋葬地で遺体掘り起こし「拷問の証拠」を記録 ウクライナ奪還の街 - WEDGE Infinity

オーラ・ゲリン、BBCニュース(イジューム、ウクライナ)

ウクライナ東部イジュームのはずれにある松林に死臭が漂っていた。そこでは大量の遺体の掘り起こし作業が始まっていた。

この大地は秘密を明らかにしようとしている。ウクライナ当局は戦争犯罪が行われていたと考えており、その証拠を記録する決意だ。

青色のビニールカバーをかぶったウクライナ側の救急隊員約100人が土にスコップを入れ、仮設の墓を掘り起こしている。

彼らはイジュームのはずれにある森に埋められた数百人の死因を特定しようとしている。この街は、前進を続けるウクライナ軍によって最近解放されたばかりだ。

4月にロシア軍に侵略されたイジュームは、ロシア軍が東方から運ばれる物資の補給を行う重要な軍事拠点としていた。

遺体の掘り起こし作業は、警察と検察が見守る中ほとんど無言で行われた。ある警官は両手で頭を抱え、別の人はその場から離れた。

ハルキウ州のオレクサンドル・イリェンコフ検察官は、この場所で戦争犯罪が行われたことは間違いないと話す。

「最初の墓には首にロープをかけられた女性の民間人の遺体がある。拷問の跡が見られる」と、同検察官はBBCに語った。

ここで見つかったほぼ全員がロシア兵に殺害されたという。

「ある者は殺され、ある者は拷問され、ある者はロシア連邦の空爆と砲撃で殺された」

ウクライナは、この不穏な光景を世界に公開すると決めていた。外国メディア記者の一団を現場に入れ、立ち会わせた。

集団埋葬地は既存の墓地の隣にあった。粗末な木製の十字架が立てられた墓が何列も並んでいた。

名前が書かれていたのはほんの一部で、ほとんどの墓には番号だけが記されていた。これらの遺体はロシア軍が支配していた時期に、ロシア軍の命令でここに埋葬された。

ウクライナ警察によると、この場所では新たに445基の墓が見つかったが、複数の遺体が入った墓もあるという。全員どのように死亡したかは不明だ。多くは民間人で女性や子どもも含まれているとされる。

検察官は、ロシア軍の砲撃で死亡した者もいれば、3月に47人が死亡した集合住宅へのロシア軍の空爆で犠牲になった人も含まれるとしている。

当局によると、ある墓からは約20人の兵士が見つかり、手を縛られたり首に縄をかけられたりした兵士もいた。掘り起こされた軍服姿の男性の遺体は白い遺体袋に入れられた。

遺体の掘り起こしが続く中、治安部隊は地雷除去にあたった。遠くでは散発的に爆発音が聞こえた。

フルィホーリイさん(72)はこの日、妻ルドミラさんの墓を見るために埋葬地にやって来た。ルドミラさんは3月7日、イジュームで激しい砲撃が起きた際に亡くなったという。

最初は自宅の庭に埋めなければならず、8月に別の場所に埋葬したという。そして再び、ルドミラさんの遺体は掘り起こされることになった。

ウクライナはロシア軍が撤退した今になって初めて、この場所で詳細な調査を行い、占領軍が残した犠牲者の数を明らかにできるようになった。

森の反対側に住む女性は、ロシア軍が地元住民を墓地から遠ざけていたと、私たちに明かした。

埋葬地に姿を見せた地元の男性マクシムさんは、自分が受けた拷問について記録するようジャーナリストたちに求めた。

マクシムさんは今月上旬にロシア軍に拘束され、10日にイジュームに到着したウクライナ軍によって解放されたと話した。

そして私たちに向かって、手首に残った手錠の跡を見せ、電気ショックを受けたと述べた。

ウクライナのミハイロ・ポドリャク大統領顧問は、ウクライナ軍が最近奪還したいくつかの地域で、拷問が行われていたことを示す証拠が見つかったとBBCに語った。

「我々は明かりもなく、食べ物もなく、水もなく、正義を受ける権利もなく、ひどくおびえた人々を目の当たりにした」

ハルキウ州のイリェンコフ検察官は、ウクライナ軍が最近奪還した複数の地域で、同様の埋葬地がいくつか見つかったと話した。

米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー報道官は、イジュームの墓地に関する報告は「ぞっとする」ものだが、「ロシア軍がウクライナに対して行っている戦争での堕落や残虐性と一致する」と指摘した。

「我々はロシア軍がウクライナで犯した戦争犯罪や残虐行為を記録し、関与したロシア人を特定し責任を取らせるための国内外の取り組みに対する支援を積極的に続けていく」

フランスのエマニュエル・マクロン大統領はイジュームで「残虐行為」が行われたとし、「可能な限り最も強い言葉で」非難した。

国境を越えた重大犯罪の起訴と捜査を専門とするイギリスの弁護士で、イジュームから戻ったばかりのナイジェル・ポヴォアス氏は、BBC番組「ニューズアワー」に対し、遺体の掘り起こしで戦争犯罪の証拠が見つかっても自分は驚かないだろうと語った。

「現時点での初期の兆候として、かなり初期の段階ではあるものの、砲撃や栄養失調、医療不足で死亡した遺体も含まれているとみている」とポヴォアス氏は述べた。「異常が無いようにみえる遺体も検査が行われ、死因が特定されれば、拷問や処刑の証拠が見つかると思う。複数の占領地でみられているのと同じパターンだ」

追加取材:アリス・デイヴィス(BBCニュース)

(英語記事 Mass exhumations at Ukraine forest graves site

提供元:https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-62899888

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