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Monday, July 18, 2022

前政権の反人道的強制送還、韓国で証拠写真公開 西岡力(モラロジー道徳教育財団教授) - 国家基本問題研究所

韓国の文在寅前政権が北朝鮮住民の人権を踏みにじり、北朝鮮の金正恩政権にこびを売っていた証拠が出てきた。韓国統一省が7月12日、日本海で韓国海軍に拿捕された北朝鮮漁船の漁民2人を2019年11月に北朝鮮へ強制送還した際の写真10枚を公開した。

2人は自筆の亡命意向書を書いていたが、当時の金錬鉄統一相は「亡命意思には真実性がなかった」「漁民は死んでも(北朝鮮に)戻ると話した」と説明していた。

北漁民、引き渡しに激しく抵抗

10枚のうち、①から⑥は黒い服を着た漁民が北朝鮮兵士への引き渡しに激しく抵抗した様子を撮影している。

①と⑦は、2人の漁民が手錠ではなくテロ犯に使われるリストバンドで拘束され、目隠しをされて南北軍事境界線上の板門店の南側施設に連れて来られた場面だ。2人は秘密の場所で取り調べを続けるとだまされた。②は、黒い服の漁民が南北境界線近くに連れて来られ、リストバンドと目隠しを外され、北朝鮮に引き渡されることを初めて知って驚愕している。

③は、北朝鮮に引き渡されるよりも自殺を選ぶとして、漁民が壁に頭を打ち付けたところだ。この写真は一部加工されているためはっきり分からないが、韓国マスコミは関係者の証言として、漁民は血だらけになったと報じている。

④と⑤は、引き渡しのため特別に動員された警察特別部隊員によって無理矢理引っ張って行かれたところを写している。通常、漂流漁民など民間人を北朝鮮に送還する場合は赤十字か統一省職員が付き添うが、この時は抵抗されることを予想して警察が動員された。護送を依頼された軍は断り、国連軍司令部も強制送還への協力依頼を5回も拒否していたことが明らかになっている。

⑥は、軍服を着た北朝鮮兵士に引き渡されながら必死に最後の抵抗しているところだ。⑧から⑩は、青い服を着た漁民が周囲を警察に囲まれたまま、諦めたように歩いて北朝鮮兵士に引き渡される場面だ。

一連の写真を見れば、2人の漁民に韓国亡命の意思がなかったとした文前政権の主張は真っ赤な嘘だと分かる。文政権は当時、2人が漁船の中で同僚16人を殺害して逃走中だったことを電波傍受により知っており、凶悪犯は脱北者として保護する対象にならないと説明していた。

しかし、今回の写真公開直後に現在の尹錫悦政権の姜仁仙大統領室報道官は「亡命の意思を表明したにもかかわらず強制的に送還したなら、国際法と憲法に反する反人道的、反人倫的な犯罪行為」であり、「真相究明が必要だ」と言明した。さらに、公開された写真について、「引き渡されないよう抵抗する姿は、亡命の意思がなかったとした文政権の説明と異なる」と明言している。

写真公開に先立ち7月6日、韓国国家情報院は2人の漁民に対する国情院と軍の合同調査をわずか3日で打ち切らせた当時の国情院長徐薫氏を職権乱用罪と虚偽公文書作成罪などで刑事告発し、検察が捜査に入っている。情報機関が前政権下の機関長を告発するのは異例だ。同日、国情院は徐薫氏の後任の院長だった朴智元氏についても、北朝鮮絡みの別の事件で刑事告発したので、文政権下の国情院長2人が近く逮捕される可能性が高まっている。

国情院は現在、最高幹部27人を職務停止状態にして、前政権時代にあった北朝鮮との秘密接触などについて厳しく調べている。漁民強制送還も文在寅大統領の決裁なしに行われたとは考えられない。漁民送還直前に文政権は北朝鮮の金正恩総書記に訪韓を促すメッセージを送っていたことも判明している。文前大統領はすでに保守団体から与敵罪などで告発されており、今後の展開に注目したい。(了)
 
 

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2018年12月に北朝鮮の漁船が漂流して韓国軍が拿捕、二人の漁民を強制送還。文在寅前政権は二人に亡命意思がなく帰りたいと言ったと言う。しかしそれが嘘だったことが判明。人道に反する文前政権の所業は国際社会から糾弾されるだろう。

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