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Friday, March 11, 2022

直接証拠なき事件…介護施設で入所者2人死傷 元職員に懲役12年の判決「犯行可能だったのは被告人のみ」 - tokai-tv.com


 2017年、岐阜県高山市の介護施設で入所者5人が相次いで死傷し、そのうち2人に対する傷害致死などの罪に問われていた元職員の男に8日、懲役12年の判決が言い渡されました。

 この事件では、犯行の目撃者や防犯カメラなどの直接証拠がなく、「被告が犯人かどうか」が最大の争点となっていました。

 8日午前、岐阜地裁で開かれた注目の裁判。スーツ姿で出廷した被告の男に判決が言い渡されました。


<裁判長>
「被告人を懲役12年に処する」

 男はまっすぐと立ち、微動だにせず判決文の読み上げを聞いていました。

小鳥被告(逮捕前の2017年):
「100%やっていないですからね、こんなことは。こんな自分が分かる状態でやるって単なるアホじゃないかと」

 高山市にある介護施設「それいゆ」の元職員・小鳥剛被告(36)。

犯人だと“消去法”で主張…検察側の立証方法が『推理小説』のよう 直接証拠ない介護施設での傷害致死事件等


 2017年8月、入所していた中江幸子さん(当時87)の首を絞めるなどして死亡させたほか、別の女性入所者(当時91)の胸を圧迫するなどしてケガをさせた傷害の罪に問われていました。

 事件があった「それいゆ」では、4年前の7月から8月までの半月ほどの間に5人が死傷。

 小鳥被告はこの5人すべての介助に関わっていましたが、問題が発覚した直後、取材に答えていました。

小鳥被告:
「5人全員の介護に関わっているという話でしたけれども、その日の食事を介助しただけで。転ぶもんは転ぶしケガする時はケガするし、いくら気を付けとっても正直100%事故を防げないというのは事実ですよね」

 さらにこの1年半後、逮捕の1週間前の取材に対しても…。

小鳥被告(逮捕前の2020年1月):
「(Q.思い当たる節も全くない?)ないですね。逆に今更になって思い当たることなんて、その時になかったら今もないと思います」

 一貫して自身の関与を否定していましたが、事件発覚から1年半後、逮捕されました。


 この時、取材に応じた被害者の家族は…。

被害者の息子:
「(認知症で)自分の意思もはっきり伝えられない者に対して、なぜこんなことができるのかと」

別の被害者の息子:
「白状しんのやってな。本当のこと言わん。真実を話さないでどうしようもない」

 事件発生から4年以上が経った2021年12月からようやく始まった裁判。


<小鳥被告>
「私は2件の事実について、今読み上げられたような行為をいずれもしていません」

 小鳥被告は裁判でも一貫して無実を主張しました。この事件では、犯行の瞬間を捉えた防犯カメラなど、いわゆる直接証拠がなく、裁判の最大の争点は「被告が犯人であるかどうか」。


 検察側は、施設の通路を映した防犯カメラや他の職員の勤務状況などから「犯行は小鳥被告にしかできない」と指摘し、懲役12年を求刑。

 弁護側は「介護で起きた事故だった」と主張し、無罪判決を求めていました。

 そして8日、岐阜地裁は傷害致死と傷害、いずれも小鳥被告の犯行と認定し、求刑通り懲役12年の実刑判決を言い渡しました。直接証拠がない中で小鳥被告の犯行と認めた理由について、裁判長は…。

<裁判長>
「2つの事件について、いずれも犯行の機会があり、現実的に可能だったと考えられる人物は被告人しかいない」

 犯人の可能性がある人物を、犯行時間帯に勤務していた小鳥被告を含む4人の職員に限定したうえで、小鳥被告以外の3人については当時の勤務状況などから犯人ではないと認定。犯人は小鳥被告であると結論付けました。


 懲役12年という量刑の理由について裁判長は「理不尽、身勝手で言語道断な犯行というほかない。厳しい非難に値する」と言及。

 判決を受けて、傷害致死の被害者・中江幸子さんの長男は…。

中江さんの長男:
「本人の口から『やった』と言って欲しかったけど、そういうことがないで何とも言えん。たとえ刑務所に入ったとしても、償いきれないと思う」


 弁護側は「控訴するかどうかは被告と相談して決めるが、被告は控訴すると思う」とコメントしています。

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