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Monday, January 31, 2022

ブタを常食、その証拠はトイレ跡から 橿考研「藤原京のお手洗い」展 - 朝日新聞デジタル

清水謙司

 トイレの跡からは、その時代の人々の暮らしが見えてくる。奈良県橿原市の県立橿原考古学研究所(橿考研)で開かれているアトリウム展「藤原京のお手洗い」は、藤原京(694~710年)のトイレ跡にスポットをあてた。古代、都にいた人がブタを食べていたことをうかがわせる発見例も紹介している。

 藤原京は、日本で初めての本格的な都城とされる。橿考研が2018年、桜井市の県営住宅建て替え工事に伴い、藤原京跡を発掘調査し、トイレの跡をみつけた。取り付いた弧状の溝で、道路の側溝とつながっていたとみられ、当時の水洗便所と考えられている。

 ヒトの大便が堆積(たいせき)していた。土壌分析したところ、豚肉を食べると感染する寄生虫の卵が見つかった。橿考研は報告書で、ブタを常に食べていた生活者が便所を使っていたといえると指摘した。

 同じような寄生虫の卵は、「古代の迎賓館」と呼ばれる鴻臚館(こうろかん)跡(福岡市)や秋田城跡(秋田市)のトイレ遺構でも見つかっている。藤原京の時代より後のものともみられる。藤原京でみつかった寄生虫の卵は、豚肉食の科学的な証拠として国内最古級の可能性もある。中国大陸や朝鮮半島からの渡来人が藤原京で暮らしていたことも考えられるという。

 今回の展示では、こうした重要な成果を遺物やパネルでわかりやすく伝えている。豚肉食をうかがわせる寄生虫の卵は拡大したパネルで紹介。土の中で見つかったナスやウリ類の種子もパネルで展示している。当時の人たちが用を足した後におしりを拭いた細長い木ぎれ(籌木(ちゅうぎ))や、土師器(はじき)、須恵器といった出土品は実物を見ることができる。

 発掘調査では当時の道路跡のほか、建物や井戸の跡も見つかった。調査を担当した橿考研の木村理恵さんは「当時の食生活やまわりの環境、宅地利用の一端を明らかにすることができました」と話している。

 3月18日まで。入場無料。午前8時半~午後5時15分。土日・祝日は休み。問い合わせは橿考研(0744・24・1101)。(清水謙司)

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