キャブズ戦に出場してショットも沈めたジョンソン[写真]=Getty Images
「考えるまでもなかったね。僕はすごくいいシェイプにある。だからこのチャレンジに臨む準備ができていたのさ」
12月23日(現地時間22日、日付は以下同)。ボストン・セルティックスがホームのTDガーデンでクリーブランド・キャバリアーズを111-101で下し、今季戦績をイースタン・カンファレンス8位の16勝16敗とした。
この試合ではジェイレン・ブラウンがゲームハイの34得点に6リバウンド3アシスト、ロバート・ウィリアムズ3世が21得点11リバウンド7アシスト2スティール2ブロック、ジェイソン・テイタムが18得点9リバウンド5アシスト、ロメオ・ラングフォードが11得点9リバウンド2スティールと活躍。
セルティックスは現在、アル・ホーフォードやジョシュ・リチャードソン、グラント・ウィリアムズといった選手たちが新型コロナウイルスの安全衛生プロトコル入りで離脱。そこでチームは代替選手として19日にジャスティン・ジャクソン、21日にCJ・マイルズとそれぞれ10日間契約を結び、23日には40歳のジョー・ジョンソンとも10日間契約を結んだ。
ジョンソンはこの試合の残り1分57秒にコートへ登場。アリーナに駆け付けた観客から温かい拍手と共に迎え入れられると、残り23.2秒にプルアップジャンパーを鮮やかに放り込み、セルティックスの勝利を確実なモノにした。
1対1から熟練されたスキルと自慢のシュート力を駆使して着実に点を取ってきた男は、アイソレーションにめっぽう強いことから“アイソ・ジョー”というニックネームで親しまれており、10日間契約した当日の試合で見事その力を発揮。
25歳のブラウンはジョージア州アトランタで育ってきたこともあり、2000年代中盤から10年代序盤にかけてアトランタ・ホークスのエースとして活躍してきたジョンソンには「たくさんの思い出がある」と明かし、「(プレーオフでも)たくさんプレーしていた。アトランタで、僕は彼のゲームをたくさん見に行っていた」と試合後に話していた。
アーカンソー大学出身のジョンソンは、01年のドラフト1巡目全体10位でセルティックスから指名されてNBAキャリアをスタートさせるも、02年2月にフェニックス・サンズへトレード。その後サンズ、ホークス、ブルックリン・ネッツ、マイアミ・ヒート、ユタ・ジャズ、ヒューストン・ロケッツでプレー。最後にプレーしたのは17-18シーズンで、それ以降は3対3のプロリーグ“ビッグ3”でもプレーしてきた。
「20年ぶりに戻ってこられたなんて信じられないね。僕には今でも不思議な感じさ」と試合後に語ったとおり、ジョンソンは19年と308日ぶりにセルティックスへ帰還して公式戦出場を果たした。これはジェームズ・エドワーズ(元サンズほか)がレイカーズで経験した14年と331日ぶりのカムバック記録を大幅に上回る新記録となったのである。そして40歳のジョンソンは、ヒートのユドニス・ハズレム(41歳)に次いでリーグで2番目の高齢選手となり、マイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)と対戦した経験を持つ現役唯一の選手に。
18年5月以来、約3年半ぶりのNBA復帰となったものの、大ベテランは「諦めることはなかった。けど大きな期待はしていなかった。息子は14歳で、僕をジムにこもらせているんだ。僕らはそろって練習に励んでいてね。で、彼にはいつもこう言っている。『ひたすら練習しろ。次にどうなるか分からなくても、練習し続けるんだ』とね」と語り、選手として、そして父として見事な復活劇をやってのけたのだった。
22日に代理人を務める『Excel Sports Management』のジェフ・シュワルツから電話をもらった時、ジョンソンは8歳の娘と座っていた。そこから1時間もしないうちに、ジョンソンはボストンへと向かったという。
「考えるまでもなかったね。僕は本当に身体をケアしている男なんだ。すごくいいシェイプにある。だからこのチャレンジに臨む準備ができていたのさ」。
NBAは現在、新型コロナのプロトコル入りによって試合の延期も余儀なくされている。だがこの事態によって、若手やベテラン選手たちにNBAという世界最高のプロバスケットボールリーグでプレーするチャンスが思わぬ形で転がり込んでくるのも事実。
ジョンソンは日々身体をケアして良い状態を保ち、息子と共にジムで汗を流して練習を続けてきたからこそ、見事そのチャンスをつかんでコートに立つことができた。
10日間契約は一時的なものであり、2度目の10日間契約あるいは今季終了までの契約は保障されていないものの、ジョンソンが生粋のスコアラーとして新たなチャプターへと足を踏み入れたことは間違いない。
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