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Saturday, December 25, 2021

残り310m、絶体絶命の有馬記念で見せた執念…テイエムオペラオーの「年間グランドスラム」は“日本競馬史に残る偉業”だった(島田明宏) - Number Web - ナンバー

 2020年アーモンドアイ4戦3勝、19年リスグラシュー5戦3勝、18年アーモンドアイ5戦5勝、17年キタサンブラック6戦4勝、16年もキタサンブラックで6戦3勝。過去5年のJRA賞年度代表馬が、そのタイトルを獲得した年の戦績である。

 これらの歴史的名馬のさらに上を行く、年間8戦8勝、うちGI5勝という、とてつもない戦績で年度代表馬となった馬がいる。

 2000年に史上4頭目の満票で選出されたテイエムオペラオーである。

 ここ数年、ノーザンファーム天栄や大山ヒルズに代表される外厩の調教施設や管理技術が進歩したことにより、強い馬ほどあまりレースを使わず、間隔を置いてGIだけに出てくるケースが多くなった。

 それだけに、このテイエムオペラオーのように、一年のうちにGI5戦のほか、前哨戦のGIIを3戦してそのすべてを勝つ馬は、もう現れないかもしれない。

 ということで、今、あらためて、20世紀最後の年度代表馬となった「覇王」の蹄跡を振り返ってみたい。

落札価格は「格安」の1000万円

 テイエムオペラオーは1996年3月13日、浦河の杵臼牧場で生まれた。

 父オペラハウス、母ワンスウエド。母の父ブラッシンググルーム。

 オペラハウスは93年にコロネーションカップ、エクリプスステークス、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスと英GIを3連勝。ブラッシンググルームは70年代に仏GIを5連勝。種牡馬として、英GIを4連勝したナシュワン、米仏GIを4連勝したアラジなどの名馬を送り出している。

 ビッグレースを連勝する遺伝子を受け継いだオペラオーであったが、しかし、牧場にいたころの評価はさほど高くなかった。

 1歳だった97年の北海道10月市場で、竹園正繼オーナーが、スタート価格の1000万円で落札したこともそれを示しているし、クラシックへの出走登録もなされなかった。

 98年8月の旧3歳新馬戦で2着に敗れたのち、骨折による休養を経て、デビュー3戦目、旧4歳未勝利戦で初勝利を挙げる。

 次走のゆきやなぎ賞、毎日杯と連勝し、追加登録料200万円を払って臨んだ皐月賞で優勝。その後も、日本ダービーではアドマイヤベガの3着、菊花賞ではナリタトップロードの2着、有馬記念はグラスワンダーの3着と、トップレベルの力を発揮しつづけ、旧4歳シーズンを終えた。

【次ページ】 20世紀の終わりに覚醒した「覇王」

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