
米プロフットボール・NFLは、現地9月16日、メリーランド州で開催された第2週のサーズデイナイトゲームで、ワシントン・フットボールチームとニューヨーク・ジャイアンツが対戦。ワシントンが、試合最後のプレーで逆転勝利した。 【これもドラマチック】ワシントンの劇的な勝利で、スタンドの美女から「熱いキッス」を受けるTEベイツ ワシントン・フットボールチーム〇30-29●ニューヨーク・ジャイアンツ (2021年9月16日、フェデックスフィールド) ジャイアンツは第1クオーター(Q)7分、ダニエル・ジョーンズのランでタッチダウン(TD)し先制。ワシントンは第2Q3分、 QBテイラー・ハイニケがWRテリー・マックローリンにTDパスを決めて同点とした。ジャイアンツはKグラハム・ガノがフィールドゴールを決めたが、ワシントンは前半終了間際に RBのJ.D.マキシックのランTDで逆転し、折り返した。 第3Q、ジャイアンツは5分にKガノが47ヤードのFG、10分にはQBジョーンズからWRダリアス・スレイトンへの33ヤードTDパスが決まって逆転。その後、両チームが2本ずつFGを決めて、26-20とジャイアンツ6点リードで終盤へ。 ワシントンは第4Q10分に、ハイニケがTEリッキー・シールズジョーンズに19ヤードのTDを決めて逆転したが、ジャイアンツは、残り2分で、ガノがFGを決めて再逆転した。しかし、ワシントンは、残り時間0秒で、ホプキンスの43ヤードFGが決まって、熱戦にケリをつけた。
「ガンマン」ハイニケが見せた2つの能力
開幕戦、第1週のマンデーナイトゲームに続き、第2週の木曜夜も、最後の最後にドラマが待っていた。 ワシントンは2点ビハインドの第4クオーター残り5秒でKホプキンスが48ヤードのFGトライ。ボールはゴールポストの右にそれて、ジャイアンツが勝利したかに思えた。しかし、ジャイアンツのインサイドのラインがオフサイドの反則を犯していた。 5ヤード罰退で、反則によって、残りゼロ秒のワンプレーがワシントンに与えられた。ホプキンスは今度は失敗しなかった。ボールはゴールポストのやや左寄りを通過し、ワシントンが今季ホームでの初戦を見事にものにした。 勝利の立役者は、若きQBハイニケだった。 昨シーズンのNFCワイルドカードプレーオフ、バッカニアーズ戦で、敗れたものの果敢なパスオフェンスで、名を挙げた「シンデレラ」QB。前週で今季のスターターだったベテラン、ライアン・フィッツパトリックが負傷したため、途中からリリーフした。プレーオフを含めても、この試合がNFLで3戦目の先発だった。 ハイニケは、ショットガンの申し子だ。RBも含め、4人、5人のレシーバーを次々にフィールドに走らせ、パスを決める。パス成功率73.9%、336ヤード、2TD。リリースが速く、テンポが良いため、被サックはファーストシリーズで喫した1回だけ。なによりも、NFLのエースQBに求められる重要な能力を持っている。 短時間でキャッチアップをすること、2ミニッツでオフェンスをマネージすることだ。ハイニケはそれをやってのけた。 第4Q、6点差を追う残り10分10秒からのオフェンスでは、ノーバック5レシーバーのエンプティ隊形から、RBマキシックに56ヤードのパスを通してゴール前に迫ると、続けてエンプティからエンドゾーン左奥のTEシールズジョーンズに19ヤードのTDパスを決めた。2プレイで75ヤード、わずか17秒での見事なオフェンスだった。 第4Q、残り2分からは、タイムアウトが1回しかない中で、ノーハドルですべて10ヤード以下の短いパスを計7本決めて前進し、逆転のFGをセットアップした。ジャイアンツの反則に助けられた面はあるにせよ、先発3回目のQBとしては十分だろう。 ただ、若さも出た。いったん逆転した後のオフェンスでは、インターセプトを喫してしまった。 自陣内22ヤード、残り2分22秒のセカンドダウン。最も気をつけなければいけないのはターンオーバーという場面だった。 もちろんサイドラインのプレーコールの問題ではあるが、無理をする場面ではなく、ランプレーを続けてもよかった。ワシントンのRBアントニオ・ギブソンはこの日、パワフルなランで1回平均5ヤードを超えていたからだ。勝利の余韻の中で反省が必要なポイントだ。 QBフィッツパトリックの負傷で、QB補強の話もあったが、ワシントンは、ロン・リベラHCも、今季就任のマーティン・メイヒューGMも動かなかった。この日のハイニケのパフォーマンスが、今後も続くのであれば、その判断は正解ということになりそうだ。
Kガノ奮闘の5FG実らず
開幕連敗のジャイアンツ。Kガノはこの日、最長55ヤードを含む5本のFGをすべて成功させたが、オフェンスの決定力の無さの表れともいえる。 QBジョーンズは、この日は積極的に走った。デザインされたオプションからのQBキープで、9回95ヤードとチームトップのラン成績だったが、QBとしては本来のスタイルとは言い難い。負傷から復帰のRBサクオン・バークリーの調子とも絡めて、悩みは続きそうだ。
アメリカンフットボール・マガジン編集部
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