
豪邸の周囲を機動隊員が取り囲み、約100人の捜査員が門をくぐった。2014年9月11日早朝、北九州市小倉北区。福岡県警は特定危険指定暴力団工藤会(本部・北九州市)トップで総裁の野村悟被告(74)を逮捕し、捜査車両で移送した。「頂上作戦」開始から間もなく7年。市民襲撃4事件で殺人罪などに問われた野村被告とナンバー2で会長の田上不美夫被告(65)に24日、福岡地裁で判決が言い渡された。
頂上作戦で最初の逮捕容疑とされたのは、1998年に発生した元漁協組合長射殺事件だった。2008年に実行犯ら2人の実刑判決が確定しており、工藤会内部では「今さら証拠なんてあるはずがない」「(勾留満期の)20日間で戻って来る」と楽観視する向きがあったという。
だが、捜査幹部はこう振り返る。「全てを指揮するトップを起訴して社会から引き離さなければ、このテロのような事件の連鎖は終わらない。警察の威信をかけた逮捕だった」
頂上作戦前、警察は追い詰められていた。北九州市内では11年2月以降、暴力団によるとみられる市民や企業を狙った襲撃事件が約20件相次ぎ、そのほとんどが未解決だった。
被害者は、飲食店や建設業、漁協の関係者や暴力団排除運動のリーダーら。工藤会は資金提供を拒む相手を暴力で屈服させ、市民生活の至る所から利益を吸い上げようとしていた。建設工事では受注額の1~3%が工藤会側に流れているとされた。
捜査は困難を極めた。現場周辺の防犯カメラを分析しても、事件に使われた車両は盗難車。実行犯はフルフェースのヘルメットの下に覆面マスクをかぶり、カメラを避けて逃走した。当日の指示は転売された携帯電話が使われ、証拠品は海に捨てられた。
からの記事と詳細 ( 報復恐れ口閉ざす被害者・海に捨てた証拠品…「工藤会」摘発、威信かけた頂上作戦 - 読売新聞 )
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