Pages

Monday, June 14, 2021

ワクチン接種の証拠提示を 米企業で強まる包囲網 - Wall Street Journal

 米企業の間で、社員に対して新型コロナウイルスワクチンを接種するよう、圧力を強める動きが目立ってきた。義務づけまでは踏み込んでいないものの、かなり強引な手段で接種を促しているようだ。

 雇用主はここ数カ月にわたり、現金支給や休暇など「ご褒美」をちらつかせることでワクチン接種を強く促してきた。対話集会や社内メモで個人的に接種を訴える幹部もいる。

 だがここにきて、社員への接種要請はさらに強硬、かつ切迫したトーンを帯びている。総じて接種を義務づけるまでには至っていないものの、大半の企業はワクチン接種状況の報告を要請する、未接種社員の活動を制限する指針を導入するなどの措置を講じている。

 従業員に接種を呼びかける第1弾の動きは、小売りや病院、航空会社など、現場の最前線に立ち、人々の生活に欠かせない役割を担うスタッフが中心だった。だが足元では、銀行や法律事務所など専門職従事者へと対象が変化している。こうした企業からは、オフィスを再開するにあたり、大半の従業員が接種を済ませているとの確約がほしいとの声が上がっている。

 金融大手ゴールドマン・サックスは先週、社内のポータルサイトで、ワクチン接種の有無を開示するよう社員に指示した。同社はワクチン接種を義務づけていないものの、接種を完了し、その旨を登録した社員を対象に、オフィス内でマスクなしの勤務を許可する方針を明らかにした。それ以外の社員については、自分のデスクを除いては常時、マスク着用を義務づけている。モルガン・スタンレーやウェルズ・ファーゴなどの同業他社も、ワクチンの接種状況について、任意での登録を社員に要請している。

ニューヨークのモルガン・スタンレー本社

Photo: Amir Hamja/Bloomberg News

 多くの企業において、オフィスやキャンパスにいつ戻れるかは、ワクチン接種の有無が左右しそうだ。クラウド顧客情報管理(CRM)サービス大手の米セールスフォース・ドットコムはまず、接種を済ませ、その情報を開示している社員を対象に、サンフランシスコやニューヨークなどでオフィス勤務再開を認める方針だ。一度に100人程度をめどに再開を進めるという。セールスフォースも接種を義務づけてはいないが、幹部はここ最近、接種を社員に強く促している。同社の人事最高責任者、ブレント・ハイダー氏は「当社はその点について躊躇(ちゅうちょ)することはない」と話す。

 接種するよう圧力をかける企業の根拠となっているのが、米雇用機会均等委員会(EEOC)が最近公表した新たな指針だ。EEOCはその中で、雇用主は職場に入るすべての従業員に対して、ワクチン接種を義務づけることが可能とする一方、障害や信仰上の理由からワクチンを接種できない社員に対しては、適切な対応措置を提供する必要があるとしている。

 とはいえ、従業員からの抵抗に直面している雇用主もいる。ヒューストン・メソジスト病院ネットワークは、ワクチン接種の完了期限としていた6月初旬までに接種を済ませていない従業員178人を停職処分とした。スタッフ宛ての内部電子メールの内容から分かった。病院幹部はこれまで、規定に従わない場合には解雇となる可能性があるとの考えを示している。

 ヒューストン・メソジスト病院の従業員ら100人余りは先頃、病院側の義務づけは不当として訴訟を提起した。訴状によると、病院側は「雇用継続の条件として、従業員に人間の『実験モルモット』になるよう強制している」と訴えていた。連邦判事は12日、訴えを却下した。

ワクチン接種未完了のスタッフ178人を停職処分としたヒューストン・メソジスト病院

Photo: callaghan o'hare/Reuters

 雇用専門の弁護士らは、従業員に対してワクチン接種の有無を問うことは、総じて企業側の法的権限の範囲内だと話しており、雇用主はそのために一連のツールを駆使している。給与計算代行サービスのオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)は、社員が申請すれば、オフィス再開関連の社内ダッシュボードにワクチン接種カードの画像をアップロードする機能を近く提供する計画だ。社員は完全に接種を済ませたのか、1回目のみか、全く接種していないのか、情報を開示できるようにするという。

 ADPの幹部、デービッド・パルミエリ氏は「雇用主が模索しているのは、どのように情報開示を行うかだ。つまり、誰がどのような接種状況にあるのかをどう把握するかが焦点となる」と話す。

 自己申告制にしている企業もある。保険会社マサチューセッツ・ミューチュアル・ライフ・インシュアランスでは、ワクチンを接種した従業員はケースバイケースで、本社での対面の会議にマスク着用なしで出席できるようにした。ロジャー・クランドール最高経営責任者(CEO)が明らかにした。同社は月内に一部オフィスで、接種を完了した従業員を対象に、任意でオフィス勤務再開を認める方針だ。全面的なオフィス勤務再開は今秋に予定されている。

 クランドール氏は、ワクチン接種の証明をアップロードするよう社員に要請することについて幹部と協議した結果、実施は見送ったと述べる。従業員が公衆衛生の指針や社内規定に沿って任務を遂行すると信頼できる、と感じたためだという。その上で、クランドール氏は「われわれは社員を大人扱いする」と語った。

あわせて読みたい

Copyright ©2020 Dow Jones & Company, Inc. All Rights Reserved. 87990cbe856818d5eddac44c7b1cdeb8

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( ワクチン接種の証拠提示を 米企業で強まる包囲網 - Wall Street Journal )
https://ift.tt/3gAJG66

No comments:

Post a Comment