会社法違反(特別背任)などの罪で起訴され、レバノンへ逃亡した日産自動車元会長、カルロス・ゴーン被告(67)が、産経新聞の取材に書面で回答を寄せた。「(事件について)何の証拠も出てこなかった」と持論を展開、「公正な裁判という状況があれば日本を離れることはなかった」と逃亡を正当化した。
ゴーン被告は平成30年11月19日、東京地検特捜部に逮捕されたことについて、「私の人生とそれまで知っていた全てがひっくり返った」と振り返り、「人権を侵害したシステム、近代的な国では直面してはならないシステムと闘う暗黒の1年だった」と記した。
日本の司法制度を「中世的だ」と一方的に批判し、「レバノンに戻ることで、私は生まれ変わった」とした。
ゴーン被告とともに逮捕され、金融商品取引法違反罪で公判中の元代表取締役、グレゴリー・ケリー被告(64)については「日本の司法制度の犠牲者だ。何のために2年以上も日本にとどめさせられているのか」と擁護した。
一方、自身の逃亡を手助けしたとして米国で拘束され、日本移送後の3月22日に犯人隠避罪で起訴された米陸軍特殊部隊グリーンベレー元隊員、マイケル・テイラー被告(60)ら親子2人に関しては答えなかった。
ゴーン被告はいずれの起訴内容にも無罪を主張している。「逃亡の恐れなどを理由に保釈に反対した検察の主張通りに逃亡したが、どう思うか」との指摘に対しては、「検察は1年以上も捜索したが、何の証拠も出てこなかった」と反論した。
ゴーン被告は本紙のインタビュー要請に対し、広報担当者を通じ、昨年12月に事前準備として書面で回答。その後、一時連絡が取れなくなったが、事前準備の書面をインタビューに代えることに同意した。
未払い報酬の存在否定
ゴーン被告が産経新聞に寄せた書面は、日本の司法制度を批判し、無罪主張や逃亡の正当化に終始する内容で、厳しい質問にはいらだつような回答もあった。東京地検特捜部の4度の逮捕、起訴を経て再保釈されてから2年。ゴーン被告が「嫌疑」に真摯(しんし)に向き合っているとは言いがたい。
「What evidence?(事件の証拠は?)」
質問状では、「逃亡や証拠隠滅の恐れがある」として保釈に反対した検察側の主張通り、保釈後に逃亡を図ったことへの見解を求めた。しかし、ゴーン被告は批判的な質問内容には正面から答えようとはせず、挑発的な言葉を選んで検察側が「証拠を持っていない」と持論を展開した。
逃亡を手助けしたとされる米国人親子についてもただしたが、回答では親子には一切触れなかった。検察の捜査については「『無罪を証明するのは逮捕された人次第』という、近代的な国では誰も直面すべきではないシステムと闘った」と振り返った。
ゴーン被告は、ケリー被告と共謀し、平成22~29年度の役員報酬約170億円のうち、約91億円を「未払い報酬」として、有価証券報告書に過少に記載した罪に問われている。ゴーン被告は回答で、報酬に「上限」を設け、ケリー被告らが退任後の顧問料支払いを「一つの解決策」としたことは認めたが、「証拠は、仮の方法に取り組んだ人々の間で交換された電子メールだけ」とし、未払い報酬の存在は否定した。
日産の資金を自身へ還流させたなどとされる会社法違反(特別背任)罪については、「日産が支払ったインセンティブ(販売奨励金)からの資金は流用されず、私個人や家族の利益にもならなかった」と主張。ただ、具体的な根拠などは示さなかった。
ある検察関係者は「無罪の自信があるならケリー被告のように裁判を受ければいい。コメントするにも値しない」と語った。(市岡豊大)
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