宇宙から降り注ぐ高エネルギーの放射線「宇宙線」のうち、非常に高いエネルギーのものを生み出すとされる天体「ペバトロン」が、天の川銀河に存在する決定的な証拠を発見したと、東京大宇宙線研究所など日中の国際研究グループが2日、発表した。天の川銀河の川に沿って、人の目で見える「可視光」の最大1000兆倍に達する史上最高エネルギーの放射線(ガンマ線)を検出した。米科学誌フィジカル・レビュー・レターズに成果を掲載する予定だ。
宇宙線は主に陽子からできており、ガスやちりなどの星間物質に衝突すると、高エネルギーのガンマ線と呼ばれる光が放出される。
われわれの住む銀河系内ではエネルギー数ペタ(ペタは1000兆倍)電子ボルト程度までの宇宙線が生成していると考えられ、その起源が探索されてきた。このエネルギーに到達するためには、宇宙線の粒子を強力に加速しなければならない。宇宙加速器の役割を持つ仮想の天体として、ペバトロンの存在が考えられてきたが、実験的に確かめられておらず、天文学60年来の謎となっていた。
研究チームは中国チベット自治区の標高4300メートルの高原にある空気シャワー観測装置で、高エネルギー宇宙線を観測した。2014~17年に収集された観測データを解析したところ、史上最高エネルギーの1ペタ電子ボルトを含むガンマ線が、すでに知られているガンマ線を放出する天体の方向ではなく、天の川に沿って広がっていることを発見した。
理論上、銀河系内にペバトロンが存在しているのであれば、加速された宇宙線が銀河系に広く分布し、非常に高エネルギーのガンマ線が天の川に沿って輝く。今回の観測結果はまさにこのことを示しており、研究チームは、ペバトロンが存在することの「決定的証拠」と結論付けた。
東大宇宙線研の川田和正助教は会見で「今回の成果は、恐竜(ペバトロンそのもの)ではなく、その足跡を発見したといえる。ペバトロンハンティングはこれから、熱い研究領域になる」と話した。
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