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Wednesday, April 28, 2021

ティラノサウルスは群れで暮らしていた? 新たな証拠か - ナショナル ジオグラフィック日本版

ティラノサウルス類が集団で溺死しているところの復元図。奥には腐肉をあさるワニも見える。(ILLUSTRATION BY VICTOR LESHYK)

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 2014年7月、米国ユタ州南部の公有地でカメの化石を探していた研究者らが、「殺戮モンスター」の痕跡を発見した。テラトフォネウスという、ティラノサウルスの仲間の足首の骨だ(学名:Teratophoneus curriei、Teratophoneusは「殺戮モンスター」の意味)。

 それから数時間かけて、マツやビャクシンの木々の間の砂を払うと、テラトフォネウスの複数の個体の化石が雑多に混ざりあった状態で見つかった。どの個体もどうやら同じ場所で、同じ時に死んだように見えた。科学者らは、この発掘現場についての研究を4月19日付けの学術誌「PeerJ」に発表し、ティラノサウルス類が社会的な集団を形成していた可能性があると指摘した。

「恐竜の行動や生態については、この先も何か発見があるたびに、われわれが考えるよりも少し複雑であると判明していくのではないでしょうか」。論文の筆頭著者であり、発掘現場があるグランド・ステアケース=エスカランテ国定公園で働く米国土地管理局の考古学者、アラン・タイタス氏はそう語る。

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 タイタス氏はさらに、この現場が、ティラノサウルス類が協力して集団で狩りを行っていた証拠になるのではないとも考えている。「あの巨大な陸生捕食動物が集団で、まるでオオカミやライオンの群れのように行動していた痕跡を発見できたのは驚くべきことです」と、タイタス氏は言う。

 しかし、タイタス氏やほかの専門家が指摘する通り、現在生きている捕食動物においては、真の意味での集団で狩猟を行う例はほとんど見られない。また、捕食者の社会的行動は、ほかの個体の存在を許容する程度のものから、群れで協調して攻撃を仕掛けるといったものまで様々だ。

 ティラノサウルスの仲間が複数、同じ場所で見つかったのは今回が初めてというわけではないが、一帯の地質史は彼らが集団で死んだことを強く示唆している。むしろ答えを見つけるのが難しいのは、彼らはいったい集団で何をしていたのか、という疑問の方だ。

次ページ:恐竜に近い動物たちの様々な社会性

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