旧優生保護法のもとで人工妊娠中絶と不妊手術を強制されたとして、北海道に住む夫婦が国に賠償を求めた裁判で、札幌地方裁判所は「手術を強制されたと裏づける証拠はない」などとして原告の訴えを退けました。
北海道に住む77歳の女性は、妊娠していた40年前、知的障害を理由に旧優生保護法に基づく人工妊娠中絶と不妊手術を強制されたとして、夫と共に、国にあわせて2200万円の賠償を求める訴えを起こしました。
裁判で、原告側が国の誤った政策によって憲法で保障された個人の尊厳や子どもを産み育てる権利を奪われたと主張したのに対し、被告の国は訴えを退けるよう求めていました。
4日の判決で札幌地方裁判所の高木勝己裁判長は、人工妊娠中絶について、「原告の女性が同意していなかったとは言えないうえ、経済的な理由から中絶手術を受けた可能性も否定できない」として、障害を理由に強制されたとは認められないと指摘しました。
また不妊手術については、「原告らは親族から同意するよう強く迫られたと主張するが、この親族は異なる内容の証言をしている。医師の意見書や手術痕の写真など客観的な証拠も提出されておらず、法律に基づく強制不妊手術が行われたとは認められない」と述べて、原告の訴えを退けました。
争点となっていた、法律の規定が憲法に違反するかどうかや、手術から20年を過ぎても賠償を求められるかどうかについての判断は示されませんでした。
全国で起こされている一連の裁判で1審判決が言い渡されたのはこれで5件目で、仙台や東京などこれまでの4件と同様、今回も国の賠償責任を認めない判断となりました。
判決の言い渡しのあと、札幌地方裁判所の前では原告の代理人を務める弁護士が「不当判決」と書かれた紙を掲げました。
この判決について、厚生労働省は、「国の主張が認められたものと認識している。なお、法律に基づいて優生手術などを受けた方には、今後とも着実な一時金の支給に取り組んでいく」とするコメントを出しました。
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