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Sunday, January 3, 2021

久保建英の移籍が秒読み段階に。ビジャレアルで露呈した課題と新天地最有力ヘタフェで求められるものとは?(森田泰史) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース

久保建英が、移籍に近づいている。

この夏、ビジャレアルに1年のレンタル契約で加入した久保。久保の保有権を有するレアル・マドリーは、レンタル料250万ユーロ(約3億円)と久保の年俸200万ユーロ(約2億4000万円)をビジャレアル側が支払うことで合意に至った。

写真:ムツ・カワモリ/アフロ

だがビジャレアルで思っていたような成果は挙げられなかった。

久保はビジャレアルで公式戦19試合に出場(出場時間687分)を記録。ただ、出番が与えられたのは基本的にヨーロッパリーグ(5試合出場/出場時間375分)で、リーガエスパニョーラで先発したのは2試合のみだ。

「数日前にクボと話をした。私は(メディアの)情報が正しいのかどうか、彼が残りたいのか移籍したいのかを知りたかった。彼は移籍に向けて動いていると言っていた。自分のプレータイムが思っていた以上に少ないと考えているようだ」

「我々は、クボの移籍を望んでいるなどとは一度も言っていないよ。しかし、現在の私はビジャレアルを第一に考えている選手を起用していくことを考えている。クボの振る舞いは良い。彼には、(選手として)まだ不足しているものがある。だがポテンシャルを備えており、出場時間と経験を積み、成長する余地を残している。現時点で、クボはもっと試合に出る必要があると感じているのだと思う」

これはウナイ・エメリ監督の言葉だ。そもそも、久保の獲得を要求したのは、他ならぬエメリ監督であった。

■久保建英の課題

では、なぜ久保はエメリ監督の信頼を勝ち取るに至らなかったのだろうか。ここでは、まずそれを解き明かしていく。

話は遡って、プレシーズンだ。当初、久保は【4-4-2】と【4-4-1-1】の2トップあるいはトップ下で起用されていた。

だが、それは機能しなかった。

当時、私は現地の記者とよく話をしていた。久保の課題は守備にある。我々が至った結論はそこだった。

(守備の図)

具体的に言えば、久保は【4-4-2】でプレスの第一ラインに参加しなければいけなかった。パコ・アルカセル(2トップの一角)と同ラインを保つ必要があった。そのタスクを久保は果たせなかった。

(守備の図2)

現に、プレシーズンでは、パコ・アルカセルやビセンテ・イボーラから度々久保に指示の声が飛んでいたという。ポジション修正を施すためだった。

しかしながら、そのコンセプトが入りきらなかった。そして、エメリ監督は久保をサイドハーフで起用するようになる。サイドでは、中央より守備のリスクが少ない。中央で簡単に縦パスを入れられてしまえば、対戦相手の攻撃はスピードと勢いを増す。だがサイドであれば、仮に久保が遅れたとしても、ボランチやサイドバックがカバーに入れる。苦肉の策として、久保はサイドハーフに置かれるようになった。

写真:ムツ・カワモリ/アフロ

ひとつ、誤算があったとすれば、ジェラール・モレノが右サイドアタッカーとしての定着だろう。当初、久保のライバルはサム・チュクウェゼだと思われていた。突破力のあるチュクウェゼと、連携力のある久保。この2選手をエメリ監督が試合によって使い分けていくものと予想されていた。

だが蓋を開けてみると、トップにP・アルカセル、右WGにG・モレノが入る形がエメリ監督の基本布陣となった。

分水嶺となったのは、リーガ序盤のバルセロナ戦だ。この試合でエメリ・ビジャレアルは0-4と大敗している。以降、エメリ監督は【4-3-3】にシステムチェンジして、アンカーにイボーラを据えるようになった。このシステムはイボーラが負傷離脱するまで続いた。いや、イボーラ不在になってからもフアン・フォイスをアンカーに配置して、苦しみながら同布陣を維持している。

写真:ムツ・カワモリ/アフロ

右ウィングであれば、久保は攻撃で起点になり、守備を行い、得点を奪わなければいけなかった。まさにジェラール・モレノが見せているプレーだ。ジェラールを超えるパフォーマンスを示せなければ、エメリ・ビジャレアルで右サイドアタッカーにわざわざ久保を据える必要がない。

インサイドハーフ(久保は左利きなので右インサイドハーフ)であれば、マヌ・トリゲロスのように、ハードワークが必要だった。先述したように、WGの選手が守備で遅れた時に、カバー役を務めて相手を潰しにいくのがトリゲロスだ。その仕事がインサイドハーフには求められている。それだけではなく、攻撃時には機を見て2列目から飛び出さなければいけない。最も走力と労働量が要求されるポジションだ。

(右インサイドハーフのタスクの図)

加えて、ジェレミー・ピノ、フェル・ニーニョが台頭してきた。ビジャレアルのカンテラーノである彼らには、クラブからの大きな期待が懸けられている。そして、久保がピノやF・ニーニョを凌駕するプレーを披露していたかと問われれば、その答えはノーだった。

■ボルダラスの求めるもの

かくして、久保は移籍に傾いている。

新天地の最有力候補はホセ・ボルダラス監督が率いるヘタフェだ。

先日、ヘタフェのアンヘル・トーレス会長は「クボはヘタフェに来たがっている」と移籍の可能性を認めていた。争点はヘタフェがレンタル料+久保の年俸の50%(半年分)を負担できるかどうかだ。

だが、事は進んでいる。今冬、ヘタフェがトップターゲットとして掲げてきたのが久保とバルセロナのカルレス・アレニャだ。そのうちの一人を冬の移籍市場が開いた段階で獲得できるのなら、ヘタフェとしては悪い話ではない。

それでは、ヘタフェで久保に求められるものは何か。このコラムでは、幾度となく論じてきたテーマだ。しかし、今一度、それについて触れておこう。

ヘタフェの基本布陣は【4-4-2】である。

(久保を入れた仮想布陣図)

近年、リーガでは【4-4-2】が流行している。今季でいえば、アトレティコ・マドリー、レバンテ、エイバル、オサスナ、バジャドリー、カディス、アラベス、エルチェがその布陣を採用している。

ヘタフェで、久保はFWあるいは左MFに入るだろう。ボルダラス監督は逆足のサイドアタッカーを好まない。順足のサイドアタッカーを入れて、縦に速い攻撃を好む。

(サイド攻撃の図)

サイドから攻める時、縦のスペースに入るのはサイドアタッカーだ。FWの選手は、サイド落ちするより、相手のCBを引き付けることが求められる。久保のような小柄な選手の場合、ディフェンスラインの背後を狙いながら、相手CBの注意を引く必要がある。

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