プロ野球の記録を見ていると、時間があっという間に過ぎてしまう。なかでも通算記録は、数字を積み重ねてきた選手のすごさを感じるとともに、プロ野球の長い歴史の重さを実感できる。2021年も数多くの選手が球史に名を刻もうとしている。
打者にとって通算記録の"花形"は2000本安打で、昨年は坂本勇人(巨人)が史上53人目の快挙を達成した。今シーズン、そんな偉大な記録に挑戦するのが、栗山巧(西武)と中島宏之(巨人)のふたりである。
栗山巧(西武)/1926安打(残り74本)
中島宏之(巨人)/1850安打(残り150本)

通算2000本安打まであと74本に迫っている西武・栗山巧
栗山は2008年にシーズン最多安打(167本)のタイトルを獲得し、昨シーズンも101安打を記録。順調にシーズンを過ごすことができれば、快挙達成は間違いないだろう。ちなみに、栗山は2000試合出場(過去51人達成)にもあと42試合に迫っており、こちらも偉大な大記録である。
中島は昨シーズン100試合に出場し、83安打を放つなど復活をアピール。今シーズンの達成は簡単ではないが、レギュラーとして出場を続け、持ち前の打撃を発揮できれば決して不可能な数字ではない。
このふたりに続くのが浅村栄斗(楽天)、長野久義(広島)で、こちらは通算1500安打まであと少しに迫っている。
浅村栄斗(楽天)/1438安打(残り62本)
長野久義(広島)/1392安打(残り108本)
ホームランに目を移すと、現役最多は中村剛也(西武)の424本。今年、節目のアーチを迎える選手はこうなっている。
通算300本塁打(過去42人達成)
ウラディミール・バレンティン(ソフトバンク)/297本(残り3本)
松田宣浩(ソフトバンク)/287本(残り13本)
バレンティンは2013年に日本記録となるシーズン60本塁打をマークした稀代のホームランアーチストだが、昨シーズンは選手層の厚いソフトバンクで出場機会を減らし、わずか9本塁打にとどまった。記録達成は間違いないだろうが、どれだけ上積みできるか。まずはレギュラー奪取が最大の目標になる。
同じくソフトバンクでは、柳田悠岐が通算186本塁打を放っており、200本塁打まであと14本に迫っている。
盗塁は、昨年ソフトバンクの周東佑京が13試合連続盗塁の世界記録を達成したが、通算記録では糸井嘉男(阪神)が節目の300盗塁にあと1つに迫っており、西川遥輝(日本ハム)も残り13個。た
また、通算200盗塁達成の可能性があるのは、残り24個の山田哲人(ヤクルト)と、残り26個の中島卓也(日本ハム)のふたり。
山田が"永遠の目標"と語るトリプルスリー(3割、30本塁打、30盗塁)の4度目の達成を果たすには、今シーズン中の200盗塁クリアは必須である。昨年の盗塁数はコンディションの悪さが影響してわずか8個。体調が万全となれば、バッティングの調子も上がるだろうし、盗塁数も再び増えるに違いない。
投手にとっての"花形"はなんといっても200勝で、これまで24人が達成(日米通算200勝は野茂英雄と黒田博樹が達成)しているが、投手のメジャー移籍があとを絶たない今、NPB通算200勝は極めて困難な記録となっている。2008年に山本昌(元中日)が達成したがそれ以来はひとりもおらず、現役最多は石川雅規(ヤクルト)の173勝となっている。
今季でプロ20年目となる石川は、あと129イニングを投げれば通算3000投球回(過去27人達成)となり、13試合に登板すれば通算500試合登板(過去102人達成)となる。200勝に少しでも近づくためには、この数字を通過点としたい。
抑えでは、山﨑康晃(DeNA)が通算200セーブまで残り31に迫っているが、昨年は不振によりクローザーから中継ぎへ配置転換となった。三浦大輔新監督のもと、まずは守護神として再び輝きを取り戻してほしいものだ。
また、未来のスーパースターの数字を追うのも楽しいことで、山本由伸(オリックス)もそのひとりだ。
プロ3年目に127奪三振を記録し、昨年はシーズン120試合ながら149個の三振を奪い、千賀滉大(ソフトバンク)と奪三振のタイトルを分けあった。ちなみに、昨年まで通算342奪三振を記録しており、今シーズン158個の三振を奪えば通算500奪三振となる。もちろん、山本にとってはあくまで通過点で、1000、1500、2000奪三振......と記録を伸ばし、歴代最多の金田正一氏(元巨人など)の4490奪三振を目指してほしいものだ。
一方、大ベテランの域に差しかかっている選手の数字には、ある種の感慨をもたらしてくれる。鳥谷敬(ロッテ)、内川聖一(ヤクルト)、福留孝介(中日)、能見篤史(オリックス)たちは大ベテランならではの記録に挑戦しようとしている。
鳥谷敬(ロッテ)
通算9000打席(過去20人達成)まで残り314打席
通算3000塁打(過去61人達成)まで残り48塁打
過去の達成者数を見てもわかるように、通算9000打席はある意味、2000本安打よりも難易度が高い。プロ18年目を迎える鳥谷は2年目以降、毎年のように500〜600打席以上立っていたが、阪神での最終年となった2019年は105打席、ロッテ移籍1年目の昨年は39打席と年々打席数を減らしているが、少しでも偉業に近づいてほしい。
内川聖一(ヤクルト)
通算2000試合出場(過去51人達成)まで残り23試合
通算200本塁打(過去109人達成)まで残り4本
通算400二塁打(過去12人達成)まで残り43本
通算1000打点(過去46人)まで残り43個
今シーズンからヤクルトでプレーする内川は、セ・パ両リーグそれぞれで1000安打という、過去に大杉勝男氏(元ヤクルトなど)、落合博満氏(元中日など)、和田一浩氏(元中日など)しか達成したことのない記録も控えている。
福留孝介(中日)
通算400二塁打(過去12人達成)まで残り4本
通算1000四球(過去18人達成)残り18個
通算2000試合出場(過去51人達成)まで残り91試合
通算2000本安打(過去53人達成)まで残り91本
これらはあくまでNPB通算の記録であり、日米通算だとすでに達成している記録ばかりで、あらためて福留の偉大さを認識させられた。
能見篤史(オリックス)
通算1500奪三振(過去50人達成)まで残り4個
話は変わり、2006年6月26日、入団2年目の亀井善行(巨人)は当時横浜の山口俊(現・ブルージェイズ)からプロ初本塁打を記録した。その後、亀井は昨年までのキャリア16年のなかでコツコツとホームランを積み重ね、通算100本塁打まであと2本まで迫った。ちなみに、100号到達最年長の順位はこうなっている。
1. 岩本義行(元大洋など)/40歳3カ月
2. トニー・ロイ(元西鉄など)/39歳9カ月
3. 八重樫幸雄(元ヤクルト)/39歳0カ月
4. 石井琢朗(元横浜など)/38歳10カ月
5. ウィリー・カークランド(元阪神)/38歳4カ月
はたして、今年7月28日で39歳になる亀井はどのタイミングで記録を達成するのか。いずれにしても、立派な勲章であることに変わりはない。
その亀井がプロ初本塁打を放った2006年、村上宗隆(ヤクルト)はまだ6歳だった。すくすくと育った村上は、2017年のドラフトでヤクルトから1位指名を受けて入団。ルーキーイヤーに初打席初本塁打の衝撃デビューを飾り、2年目、3年目は周囲の想像を超える成長を遂げ、ここまでプロ3年間で65本塁打をマークした。
もし今シーズン、村上が35本塁打を放てば通算100号ホームランとなり、清原和博(西武)の21歳9カ月の最年少到達記録を更新することになる。
こうしてプロ野球の記録をあれこれ調べていると、1990年に取材した映画『フィールド・オブ・ドリームス』の原作者であるW・P・キンセラ氏の言葉を思い出すのだった。
「野球の試合は3時間程度ですよね。そのなかでボールが動いているのは5分ぐらいかな。要するに、野球はこれから何が起こるかを予期し、期待するスポーツなんです。たとえば、野球場のホームプレートに立って、2つのファウルラインを永遠に延ばしていく。すると、その線のなかに世界のほとんどが包まれてしまう。そんな神話的レベルの虚構を見せてくれるのが、野球なんです」
はたして今年はどんな記録が生まれるのか。今からプロ野球開幕が待ち遠しい。
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