群馬県を中心に840頭の豚が盗まれた事件の捜査は、容疑者が不明のまま越年する。群馬県警は10月以降、ベトナム国籍の男女19人を不法残留、豚の無許可解体、豚肉の無許可販売などの疑いで次々と逮捕し、家畜盗との関連を調べた。しかし逮捕事実で5人が起訴されたものの、豚のDNA鑑定が不発に終わるなど窃盗を裏付ける証拠は見つからず、豚の行方も分かっていない。防疫上の脅威にもなった事件を振り返る。(栗田慎一)
豚DNA鑑定も「不発」
最初の発覚は7月初旬。前橋の養豚場から1月以降少しずつ計400頭が盗まれていたことが判明した。 だが、1頭が1頭を産む牛と違い10頭以上も産む豚は、個体識別管理が確立されておらず、犯行日時も分からない中、捜査の前提となる「被害事実の確認」が遅れた。被害受理は県内各地で同様の被害が発覚した8月下旬だった。 この間、県養豚協会やJA前橋市が養豚農家らに警戒文書を配布した。豚熱ウイルスを犯人が媒介する恐れが指摘され、養豚業界は震撼(しんかん)した。農産物の被害は北海道、関東、九州でも確認され、背景として新型コロナウイルス禍の不況との関連が取り沙汰された。 同じ頃、インターネット交流サイト(SNS)に、解体中の豚の写真やベトナム語で豚肉を販売する複数の投稿を被害農家が発見。男女30人の名が確認されたが、偽名もあり、事件が報じられると削除された。
SNS投稿 裏付けできず
県警はベトナム人の関与を疑い、組織を横断する捜査体制を敷いた。窃盗事件の刑事部捜査3課、不法投棄事件の生活安全部生活環境課、不法滞在事件の警備部外事課などが各所轄と連携した。 SNSの投稿写真などを基に10月下旬、太田市の貸家を不法残留(出入国難民認定法違反)容疑で捜索。共同生活していた21~39歳のベトナム国籍男女13人を同容疑で逮捕し、首のない鶏も発見した。うち、刀を構えた写真を投稿し「群馬のボス」を自称していた男(39)が首謀者とみられた。 さらに2日後、子豚の丸焼き動画を投稿していた、太田市の工場で働くベトナム国籍の技能実習生で21~32歳の男4人をと畜場法違反容疑で逮捕し、豚肉の塊も押収した。捜査は「本丸」に迫るかに見えた。 だが、この17人の窃盗関与の証拠はつかめず、前橋地検が逮捕事実で起訴したのは4人。検察には残りの不起訴処分に市民から批判が寄せられたが「公判請求できる証拠がない」のが内実だった。窃盗捜査も、食肉という消費期間の短い被害品を押さえるには発生から日数がたち過ぎていた。
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