
博多湾に産業廃棄物を捨てたとして、福岡県警は9日、福岡市の美術系予備校代表の西嶋正司容疑者(58)を廃棄物処理法違反(不法投棄)の疑いで逮捕した。捜査関係者への取材で分かった。湾への不法投棄は長年問題になっていたが、投棄した人物の特定が難しく、事件化されるケースは限られていた。今回、ある「動かぬ証拠」が立件の決め手となった。
捜査関係者によると、西嶋容疑者は8月下旬、福岡市中央区那の津の博多港・須崎ふ頭から、予備校内から出た金管楽器や石膏(せっこう)像などの産業廃棄物約30キロを不法に海に捨てた疑いがある。西嶋容疑者が投棄する様子を、目撃者が動画で撮影し、通報。県警が動画から投棄場所を特定し、海底からごみを引き揚げて調べ、捨てた人物を割り出したという。
博多湾は、タイやスズキ、サワラなど魚類のほか、アサリ、カキなどの貝類、ノリやワカメなどの海藻類が年間約1300トンとれる豊かな漁場だ。
だが、福岡市によると、1992年に約9千トンあった博多湾を含む沿岸漁業の生産量は、15年には約4800トンまで減少。漁業人口減に加え、不法投棄や河川から流入するごみによる環境悪化も一因とみられる。ごみの多くはポリ袋やプラスチック容器だが、中には自転車やタイヤ、冷蔵庫などもあるという。
市は2001年からごみ捨て用のコンテナを市内8カ所の漁港に設置。地元漁協や市民団体と協力して海底ごみの回収を進めてきた。ここ数年は毎年220トン超のごみを回収。市は回収と処理に年間約220万円を支出している。
市の2015年の調査では、沿岸漁師の約4割が海のごみが増えていると感じると回答。市漁協組合長の藤野秀司さん(74)は「網にごみがかかると、漁師が手作業で取り除かなければならない。海はごみ捨て場じゃない」と憤る。(川辺真改)
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