第16週には必ずと言っていいほど“タンクトーク”、つまり最下位争いが話題となる。
ジャクソンビル・ジャガーズにとっては今まさにホットな話題だ。ニューヨーク・ジェッツが現地20日(日)にやっと今季初となる勝利を挙げたのが大きい。だからと言ってジャガーズのヘッドコーチ(HC)ダグ・マローンは最下位を目指して指揮しているわけではない。ジャガーズのホームスタジアムに水を貯めるタンク(人が利用するためのプール)ならあるが、フィールド上に係るタンクトークはマローンHCの雇用を保ってくれるものではない。それによって将来の1巡目指名権とスタークオーターバック(QB)を確保できるとしても。
マローンHCは月曜日に「負けるつもりで試合に臨め、とアドバイスしてくれた人は誰もいない」と『ESPN』に話している。
「若い頃は応援しているチームが誰を指名するのかをワクワクしながら見ていたものだ。今ならその裏にある事情がよく分かる。それでもわれわれが勝とうとしていることには変わりない。できる限りのことをやろうとしている。それが私の仕事であり、コーチ陣や選手たちのためにやらなければならない」
「われわれは今、最下位を目指す話や未来のことを考えてはいない。年末はおろか、明日何が起きるかだって誰にも分からないんだ。だが質問の意図は理解しているし、感謝している」
はるか昔のように思える第2週には、ジャガーズはドラフトやトレバー・ローレンスのことなど考えてもいなかった。マンデーナイトフットボールの勝利を祝っていたのだから。だが、そこからジャガーズは13連敗を喫する。早く忘れてしまいたいこのシーズンを最大限に活かすためには、皮肉にもこの1勝が痛手となり、第3者の手助けが必要となった。
そしてロサンゼルス・ラムズに勝ったジェッツが手を差し伸べる形となったのだ。 今や誰が最下位に終わるかの接戦となっている。とりわけ結果主義となっている今日のNFLにおいては、まともな競技者であれば決して参加したくない争いと言える。
「私にも責任があると感じている」とマローンHCは語った。
「私はいつだってプライドを持って強く、そして誇りに思ってもらえるようなフットボールチームに育てようとしてきた。だがそういう話をし始めるということは、自分の思うように実現できていないということだ。個人的にはチームのマネジメントはただでさえ難しいと思っているから、周りで起きていることやいろいろな人の言っていることはあまり気にしないようにしている。それでなくても手一杯だ」
「だが私だってバカではない。世間で言われていることも認識している。今の世の中は、それぞれが意見を持っていて、それを自由に発信することができる。だからこそこの国は素晴らしいのだ」
その素晴らしい国は生命、自由および幸福の追求の原則に基づいて建国された。誰だって負けている時に幸福であるはずはないが、ジャガーズのファンは4月に幸福感に満ちているかもしれない。ただし、マローンHCが関わっている以上、それは意図して手に入れた幸福ではないはずだ。
【R】
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