2020年10月20日、アメリカの司法省がGoogleを独占禁止法違反の疑いで提訴し、1998年のMicrosoft訴訟に続く重大な訴訟事件として注目を集めています。そんな中、ウェブブラウザのFirefoxを開発するMozillaが、「巻き添え」におびえていると報じられています。
Mozilla Reaction to U.S. v. Google - The Mozilla Blog
https://blog.mozilla.org/blog/2020/10/20/mozilla-reaction-to-u-s-v-google/
Mozilla rightly fears 'collateral damage' in Google antitrust case | VentureBeat
https://venturebeat.com/2020/10/21/mozilla-rightly-fears-collateral-damage-in-google-antitrust-case/
司法省は10月20日に、「Googleが検索及び検索広告市場において、反競争的で排他的な慣行を通じた独占状態を違法に維持している」として、Googleを独占禁止法違反の疑いで提訴しました。司法省の提訴に対し、Googleのケント・ウォーカー国際問題担当シニアバイスプレジデントは、「人々がGoogleを使用するのは強制されたり代替手段が見つからなかったりするためではなく、選んだからです」と反論しています。
Googleが「独占禁止法違反」で司法省から提訴される - GIGAZINE
by Thomas Hawk
こうした動きを受けて、Mozillaは公式ブログの中で司法省によるGoogleの提訴について反応しています。Mozillaは「多くのインターネットユーザーと同様に、Mozillaは巨大テクノロジー企業の成長する力がイノベーションを阻害し、消費者の選択肢を減らす方法について懸念しています」とコメントし、より健全なインターネットを構築するために独占禁止法の捜査は重要だと主張しました。
その一方でMozillaは、司法省がGoogleとMozillaが交わしたFirefoxのデフォルト検索に関する契約に言及したことにも触れ、「独占禁止法訴訟の最終的な結果は、競争を促進し、ウェブ上の消費者の利益を保護するのに最適な位置にいるMozillaのような企業の巻き添え被害を引き起こしてはなりません」と述べています。
Mozillaは以前から消費者保護を重要視する姿勢を打ち出しており、YouTubeの動画推奨アルゴリズムに関する調査を行うなど、巨大テクノロジー企業の慣行にも切り込んでいます。その一方で、2020年8月にはGoogle検索をFirefoxのデフォルト検索にする契約が延長され、Mozillaは今後3年間で4億5000万ドル(約470億円)の利益を得ると見られるなど、MozillaとGoogleの関係は複雑だとのこと。
司法省はGoogleの独占禁止法違反についての捜査で、ソフトウェアやハードウェアにGoogle製サービスを優先する排他的な取引にも着目しています。AppleやLG、SamsungなどのデバイスメーカーにGoogle製サービスを搭載したり、Mozillaなどのブラウザがデフォルト検索をGoogle検索にしたりする取引は、「ライバルをブロックするための反競争的行為」だと司法省は指摘しています。
Googleは、bing検索をデフォルトで使用するEdgeおよびInternet Explorerを除く、ほぼ全ての主要なウェブブラウザと収益分配契約を結んでいます。司法省は、「アメリカにおけるブラウザ使用の85%以上は、GoogleのChromeか収益分配契約の対象となるブラウザの1つで発生しています」と指摘。Chromeに次ぐブラウザシェアを誇るSafariが年間数十億ドル(数千億円)の利益を得ているほか、4%程度のシェアを持つFirefoxも数億ドル(数百億ドル)の利益を得ています。
財政的な困難に直面しているMozillaは、2020年8月に250人の従業員を解雇すると発表しています。そのため、司法省がGoogleの契約慣行をターゲットにしたことでGoogleからの収入が途絶えることは、Mozillaにとって大きな打撃になり得るとのこと。
Mozillaは公式ブログの中で、「強制措置による小規模なイノベーターへの意図しない被害は、消費者に有意義な利益をもたらすことがなく、システム全体に悪影響を及ぼします。これは巨大テクノロジー企業を修正する方法ではありません。その代わりに、修正案は業界のエコシステム全体を見て、消費者に利益をもたらす競争と選択を可能にする必要があります」と述べました。
by othree
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