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Saturday, October 3, 2020

(社説)東証売買停止 インフラの重責 自覚を:朝日新聞デジタル - 朝日新聞社

suriyus.blogspot.com

 東京証券取引所の売買が、システムトラブルで丸1日止まるという異例の事態が起きた。原因究明と再発防止に加え、取引の空白を長引かせないための仕組みに改善の余地がないか、検討する必要がある。

 東証の説明によれば、1日午前7時過ぎにシステムのディスク装置で故障が検知された。本来ならもう1台のディスクに自動で切り替わるはずが、うまくいかなかった。その結果、相場情報の配信や売買監視の処理に異常が生じたことから売買停止を決め、取引開始の直前に証券会社からの注文を遮断した。

 現行システムは昨年11月に更新。稼働後に故障は起きておらず、テストでも問題はなかったという。根本原因はまだ分かっておらず、開発した富士通と協力して解析を進めている段階だ。まずは直接の原因を早期に特定しなければならない。

 さらに、一部の機器の故障が終日の売買停止につながったことの検証も求められる。

 東証によれば、ディスクの切り替え自体は午前9時半ごろに手動で完了した。ただ、システムを再起動すれば、朝方に入ったままになっている注文の処理などで混乱が起きる可能性があるため、主要な証券会社の意見などもきいたうえ、午後の取引も見送ったという。

 確かに、再起動でトラブルがかえって拡大する事態は避けるべきだ。しかし、その日いっぱい取引できない影響は少なくない。同じことが期末などと重なれば、混乱はさらに広がったのではないか。システム全体の設計や、市場参加者も含めた運用方法などを改めて点検する機会にすべきだろう。大規模災害時への備えにもなるはずだ。

 幸い、翌2日の取引は順調に再開し、大きなトラブルは起きていないようだ。だが、今回の事態で予想外の損失を被った投資家がいなかったか、幅広く調べる必要がある。

 国内の株式取引はほぼ東証に集中してきている。宮原幸一郎社長は1日の会見で「市場を預かるものとして責任を痛感している。大変なご迷惑をおかけしたことに対して深くおわび申し上げる」と陳謝した。

 「止まらない(Never Stop)」ことを掲げていたシステムでの今回の事態は、市場の信頼性を損ない、国際的な取引所間の競争における評価にも疑問符が付きかねない。

 取引所は市場経済のインフラであり、上場企業に適切な行動や情報開示を求める立場にもある。自ら起こした問題について、具体的な調査や再発防止を着実に進めると同時に、丁寧な説明を通じて信用を取り戻していくしかない。

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