携帯電話事業者の歩みは、不正利用とのたたかいの歴史でもある。架空名義で契約し、特殊詐欺やヤミ金融などの違法行為に使われる「飛ばし携帯」が代表的だ。契約者が本人であることを確認する重要さは、携帯事業者自身がよくわかっているはずだった。
それにもかかわらず、NTTドコモの電子決済サービス「ドコモ口座」を何者かが悪用するという預金の不正引き出し被害が発生した。本人確認とは言えないような、ずさんな仕組みが原因だった。
同社が10日夕に開いた記者会見では、サービスをドコモの携帯電話契約者以外に広げたいとの思いが先行し、本人確認のハードルをあえて下げたことが浮き彫りになった。その結果、不正防止対策がおろそかになったと批判されても仕方がないだろう。
会見から見えた問題のポイントをまとめた。
NTTドコモの記者会見から見えてきた「ドコモ口座」の問題点。誤りはどこにあったのか、またサービスはどうあるべきなのか、須藤龍也編集委員が解説します。
不正の根本原因は、ドコモ口座を開設するために必要な基盤サービス「dアカウント」の不備にある。もともとは携帯電話の契約者だけが使える付帯サービスだったが、「すべてのお客様に開放する戦略」(丸山誠治副社長)で昨年9月、ドコモ契約者以外もアカウントを取得できるよう方針転換した。
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