島根・出雲市の長岡秀人市長(69)が27日、記者会見し、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、出雲全日本大学選抜駅伝(10月11日)の開催を断念することを発表した。

89年から続く大会には、幾多の名場面、名勝負が誕生した。令和初の大会だった昨年も、その1つ。国学院大が3大駅伝を含めて初優勝を飾ったが、先頭に立ったのはアンカー6区。しかも、フィニッシュ地点まで残り約700メートルという大逆転だった。

国学院大のアンカーのアンカー土方英和(現ホンダ)がタスキを受け取ったのは4番手だった。トップを走る駒大とは37秒差。東海大・西田にハイペースにも乗って、前を追った。6・2キロ付近で東洋大の定方の捉まえた。8・0キロ付近から定方を引き離した。前を走る背中は埼玉栄高の同期でもある駒大の中村大聖だけ。射程圏に捉えると、最後の力が湧いた。残り700メートルで、追いつき、一気に離した。そのまま逃げ切って、歓喜のフィニッシュテープを切った。

3年時から主将を務めていた男の意地の激走。仲間の思いを背負い、走った結果は29分5秒の区間賞でもあった。国学院大を2時間9分58秒での優勝に導いた。当時のチームスローガンは「歴史を変える挑戦」。それを見事に実現させ、チームの歴史に栄光を刻み込んだ。