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Monday, March 30, 2020

滋賀・呼吸器事件 元看護助手、再審無罪 自白「信用性に疑義」:社会(TOKYO Web) - 東京新聞

 滋賀県東近江市の湖東記念病院で二〇〇三年、男性患者の呼吸器を外して殺害したとされる「呼吸器事件」の裁判をやり直す再審で、大津地裁は三十一日、殺人罪で懲役十二年が確定、服役した元看護助手西山美香さん(40)=同県彦根市=に無罪判決を言い渡した。〇四年の逮捕から約十五年九カ月ぶりに、名誉が回復した。 

 判決理由で大西直樹裁判長は、患者の死因は「不整脈を含む原因で死亡した具体的な可能性がある」などとし「事件性を認める証拠がない」と弁護側の主張を認めた。「チューブを外して殺害した」などとする西山さんの捜査段階での自白については「信用性に大きな疑義がある」と結論づけた。

 今年二月三日に始まった再審公判で、西山さんは「殺していません」と無罪を主張。弁護側は初公判で「人工呼吸器のチューブを外した事実はなく、患者の死因は自然死だ」と訴えた。自白については、西山さんが取り調べをした刑事に恋愛感情を抱いており、「関心を引くためだった」として虚偽だと説明。取り調べでは、規則に違反して飲食物の提供があったと指摘していた。

 検察側は、再審公判前の昨年十月に「新たな有罪立証をしない」と弁護団などに通知。公判では「証拠に基づき、裁判所に適切な判断を求める」として、求刑しなかった。

◆長期化招いた証拠不開示

<解説> 西山さんが初めて再審を請求してから九年半、再審開始が確定してから一年余りで、ようやく冤罪(えんざい)が晴らされた。これだけの期間を要しながら、検察官の手元には依然として未開示の証拠三百点があり、冤罪が作り上げられた捜査過程は明らかになっていない。昨年十二月、井戸謙一弁護団長は「検事が(証拠を)出さないと言うと、それ以上を求める手続き上の権利はない」と、規定上の限界を述べていた。

 刑事訴訟法では、再審の審理の手続きについては「事実の取り調べができる」とあるのみで、進行方法や証拠開示についての規定は一切ない。このため、裁判所の裁量次第で審理が長くなり、検察官が証拠を開示しないなど、「格差」が生まれてしまうのが実情だ。

 再審公判で弁護側は、人工呼吸器の管が外れた際に鳴るアラームの消音機能を西山さんが利用して犯行に及んだとした供述調書なども含め、捜査側に誘導があったと指摘した。西山さんが消音機能を事前に知っていたのかなどの真相を知るためには、呼吸器の機能を捜査機関がどのように把握したのか、当時の捜査資料が不可欠だが、これを示す証拠は開示されなかった。

 検察側が「ない」と言っていた証拠が出てきたり、開示された証拠で捜査側の捏造(ねつぞう)が明らかになったりした事件は、後を絶たない。ドイツや英国では冤罪防止のため、議会の主導で調査委員会などがつくられ、法改正につながった。冤罪被害者が長く苦しむ現状を変えるため、日本でも速やかな法整備が求められる。 (岡屋京佑)

<滋賀の病院患者死亡> 滋賀県東近江市の湖東記念病院で2003年5月22日、入院中の男性患者=当時(72)=が死亡しているのを看護師が発見。県警は04年7月、人工呼吸器を外して殺害したと自白した看護助手西山美香さんを殺人容疑で逮捕した。西山さんは公判では無罪を主張したが、懲役12年の判決が確定した。しかし第2次再審請求審で大阪高裁は17年、新証拠の医師の鑑定書などを基に不整脈による自然死の可能性や、虚偽の自白の疑いを指摘し、再審開始を決定。19年に最高裁で確定した。

(東京新聞)

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March 31, 2020 at 11:27AM
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