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Monday, February 10, 2020

新型コロナウイルスのエアロゾル感染、厚労省「証拠なし」 - 日経ビジネス電子版

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 感染者の増加が続く新型コロナウイルスの感染経路について、複数の中国メディアは、上海市民政局が2月8日、専門家の意見として「エアロゾル感染の可能性がある」と述べたと報じた。せきやくしゃみによる「飛沫感染」、感染者に直接接触する「接触感染」に加えて3つ目の感染経路の可能性が現れた格好だ。ただし、中国国家衛生健康委員会が翌9日に「新型コロナウイルスがエアロゾルを介して伝染するという証拠はない」と発表するなど、中国国内でも情報が錯綜(さくそう)している。

(写真:ロイター/アフロ)

 そもそも「エアロゾル感染」とは何なのか。

 日本エアロゾル学会によれば、エアロゾルとは、「気体中に浮遊する微小な液体または固体の粒子」を指す。ミスト、ヒュームとも呼ばれる。霧や煙霧、スモッグなどもエアロゾルの一種である。一般的に、粒径は分子やイオンとほぼ等しい0.001マイクロメートルから、花粉などと同等の100マイクロメートル程度までの広い範囲にわたるが、国立感染症研究所は5マイクロメートル未満と定義している。この粒径の小ささがポイントだ。

 厚生労働省によれば、感染経路の種類は医学的に、「空気感染」「飛沫感染」「接触感染」「経口感染」の4つに大別される。

 「飛沫感染」は、ウイルスが唾液や気道分泌物に含まれた状態で空気中に飛び出して別の人に感染することを指し、「空気感染」は水分を伴わない状態でウイルスが空気中に飛び出し、感染することを言う。飛沫感染はインフルエンザなど多くのウイルスの感染経路として一般的。一方、空気感染する感染症は、結核、麻疹(はしか)、水痘(みずぼうそう)など数種類のみだ。爆発的な流行を引き起こす感染経路として知られる。

 感染者のせきやくしゃみで排出される多くの飛沫は5マイクロメートル以上で、1メートルから数メートルしか飛ばないが、5マイクロメートル未満の飛沫や空気中に含まれている霧のような微粒子であるエアロゾルは、すぐには地上に落下せず、ウイルスを含んだままふわふわと空気中を漂う。

 エアロゾルは飛沫の一種であるが、空気中を漂うため、飛沫感染にも空気感染にも似る。

 厚生労働省結核感染症課の担当者は「『エアロゾル感染』を空気感染の一種とする説もあれば、飛沫感染の一種だとする説もある。科学的に解明されていない部分も多く、かなり曖昧な用語だ」と話す。

 医療現場では、気管挿管などの処置をする場合に大量のエアロゾルが発生する。その際、ウイルスに感染しないよう、医療従事者はゴーグルやN95マスク(0.3マイクロメートルの粒子を95%以上除去する効果があるとする米国労働安全衛生研究所の規格に準拠したマスク)などを装着する。この装備が空気感染を予防する場合と同一のため、「医療従事者の多くは、エアロゾル感染=空気感染だと考えているだろう」(厚労省)。

 それでは、中国当局が言う「エアロゾル感染」は、爆発的な流行を引き起こす空気感染の一種なのか。

 「ただし」と、厚労省の担当者は続ける。「中国当局が発表した『エアロゾル感染』は、医学的に言えば飛沫感染を指すと考えられる。中国メディアが当局の談話として掲載した『飛沫が空気中で混ざり合い、これを吸入して感染するもの』という表現は、そのまま飛沫感染のことを指している。専門家の間で使われるエアロゾル感染とは異なる内容だ」

 こうした見解のもと、厚労省結核感染症課は「日本国内で分かっているデータを分析しても、空気感染したと証明できるに足る証拠は見つかっていない。あわてず、せきエチケットや手洗いなど、これまでも周知してきた飛沫感染、接触感染を防ぐ対策をこれからもお願いしたい」としている。

  

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